アイナの特別授業② 魔族編
「起立! 礼!」
アイナが教壇に上がるのを見たノアは参加者に号令をかけた。
「お願いしま〜す!!!」
「着席!」
「はい、今日も始めましょうか……って」
アイナは空席があることに気づいた。
「……ユウは?」
「ユウなら、ユリ姐に稽古つけてもらうって言ってたぜ」
「そうなの? ……丁度よかったかも。今日は魔族についてだから」
「そうだね。ユウ、いつも魔族の事になると辛そうだもんね」
「まぁ、そういつまでも甘い考えでいられないんだけどね。
魔族とのこれからの関係が不透明である今だからこそ……相手を知ることを怠ってはいけない」
「うん、頑張らないとね……」
「じゃあ、教科書の666ページから始めるわよ」
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アイナは黒板に、様々な魔族の人物画を並べて、基本から教えっていった。
「……ってところね、基本は。
じゃあ、今まで教えた所で、何か質問ある人」
「はい! アイナ先生〜」
「どうぞ、ノア」
「その絵は何処から持ってきたんですか〜?」
「これ? この絵は以前、王都の古書店で買った本から抜粋したものだけど」
「へぇ……でも、なんか教科書と違くないか?」
ノアの指摘通り。教科書には人に近い小型な魔族の写真が記載されており。
そして黒板の絵には、大型で異型の化け物の姿が描かれていた。
「良い質問ね。これらは現代の魔族と900年前の魔族の姿を正しく表しているわ。
そうね……なんで教科書の写真と古書の絵で魔族の形態がこうも違うか、答えられる人」
「はい〜! 私わかるよ!」
アミーは、机が飛び跳ねるぐらい元気よく手を伸ばした。
「珍しい、アミーが手を挙げるなんて……じゃあ、アミー」
「魔族が進化したからです!」
「う〜ん、まぁ正解……でいいか。
もう少し詳しく言うと、魔族は高い環境適応能力を持っているの。
それは魔族や魔物と、人間等動植物の大きな違いの一つであり、この写真と絵からも長い時間をかけて、魔族が地球環境に適するように変化していったことが確認できる。
実際、皆も……魔族を直接みる機会はあったと思うけど、教科書のように私達人間と似た見た目をしていたでしょ?」
「たしかに……そうだったね」
「これから先、より魔族は人間に近づく事が予想されているわ。魔人なんかはいい例……彼らと私達の外見的違いなんて眼の色ぐらいだし」
「じゃあさ。そういった大型の怪物は、もう居ないのか?」
「さぁ? 魔族の全てを把握してないし、居ないって事はないんじゃない?
それに童話に出てくるような龍を模した魔族は、有名じゃない?」
「龍族な。人里離れた山奥にいるんだっけか」
「えぇ、そう考えると龍族が昔と変わらない姿なのは、引き篭もってる事が原因かもね」
「はい! アイナ先生、いま疑問に思ったんですけど!」
「なにアミー?」
「そもそもなんで、魔族はその〜環境適応力?が高いんですか?」
「それは魔族が元々住んでいた星の環境が関係してると言われている」
「環境が? えぇ〜つまり、過酷だったってこと?」
「そう言われてる。魔族が以前いた世界、わかり易く言うなら魔界は、地球のような水の惑星ではなくて、大陸全部が干上がり、火に包まれていたらしいわ。逆に夜になると凍るような寒さに変わったとか」
「そんな所に生物が住めるの?」
「まぁ、この情報も真実かはわからないから、何とも」
「本当だとしたら、なんだか可哀……」
「アミー、それは違うんじゃない?
彼らにとっては、その環境が当たり前の日常だったんだから、むしろコッチの世界に強制的に連れてこさせられた事の方が可哀想だと思わない?」
「う〜ん……じゃあ、元をたどれば私達人間が全部悪いのかな?」
「どうでしょうね。でも、確かに人間が身勝手に召喚なんてしていなければ、こんな世界にはなってなかった……かもね」
「う〜ん……??」
「少し話がズレちゃったね、アミーもパンク気味だし、今日はこの辺りで終わりにしましょ。
ノア、号令お願い」
「みんな、起立!」
「礼! ありがとうございました!!」




