第17話 到着
1日のうち、気温が一番高くなる時刻。最低限の整備しかされていない砂利道をひたすらに走る。
オレたちは車を走らせながら、いつまでも見つからない目印に、翻弄されていた。
「なんとなく、この展開を予想してたぜ」
「すまん、もう少し詳しく聞いておくべきだった……」
地図で見るよりも、東門からの距離は遠く、40分近く、帆車を走らせている。
ポトル住民が野次馬目的で行くには遠い気がするし、市長の情報だよりなのも納得だ。
頼み綱であった地図には、目的地の大体の位置と目印に結界を探せとだけ、書かれているが、そういったものが見つかる気配はない。
「魔術の結界が張ってあるなら、ある程度、遠くとも、わかるはずなんだがな」
そうだ、結界だけでわかると高を括っていたが、情報不足だったか。
「おっ……? あっ! あの丘じゃないか? 人影らしきものが見える」
ノアは目を凝らして、北西の方に指を指して言った。
「いや、見えないぞ。どこの丘だ?」
「おいおい、肉眼で見るやつがいるか?
天眼術式だ」
「え? ……そ、そうだな」
まずいな。ノアの前でボロを出しすぎだ。
とりあえず、今は使えなくても、最悪できるふりをするか……。
『天眼術式』展開。
術式を脳内で編み、展開すると今朝とは違い、今度は正しく作動したようで、丘の上の人影をとらえることができた。
『やった!?』
また、失敗するかと思ったが、案外成功するもんだな。
術式が単純で、使いやすかったのも理由としてあるのか。
「あ〜、いるな。あの鎧は……恐らくだが、魔術兵の装備だな」
うっ……少し酔う……。天眼術式で遠くを見るのは、遠近感覚が狂って気持ち悪くなるから、長くは使いたくない。
「はぇ〜、ようやく目的地に着いたか」
ノアは帆車の動力術式の長時間の連続行使に、かなり集中していたのか、疲れの色を今日初めて見せた。
ただ、オレは見えた光景に疑問を持ってしまった。見えた丘には、魔術兵が一人でいるだけであり、しかも事切れたように、その場から一歩も動かなかったのだ。
違和感がある。何故、あの兵はピクリとも動かないんだ。それに結界が張られているって話だったのに、そんな様子は見受けられない……。
「まて、ノア! 様子がおかしい。車を止めてくれ!!」
ノアは急な静止の命令に驚きながらも、ユウのただならぬ雰囲気から読みとったのか、大慌てで車のブレーキを踏んだ。
「なんだ!? 何かあったか?」
「兵士をよく見ろ、妙じゃないか?」
兵士は虚ろな表情で、操り人形のように体に力が入っていなかった。
「別に変な所なんて……。
……確かに変だ。まるで、生気が抜かれて、言っちゃなんだが死んでいるようにも見える。
でも、全容を見てからじゃないと、ハッキリと言えない。周り込んで、向こうの死角から丘の上の様子を確認するぞ!」
ノアは素早い判断で、向こうに悟られないように、近づき確認することを選んだ。
「わかった」




