第11話 勉強会
時が過ぎ、現在……時計は午後6時半を示していた。
あの後、アミーの応用練習は恙無く(つつがなく)終了し、オレたちはアイナの家で、筆記試験の対策をしていた。
魔術以外の科目は案外、現世の試験に酷似しており内容も似ているのが、興味深いところだ。
皆、それぞれの勉強に集中していると。
「あ~、もう駄目。集中できねぇー」
椅子にだらしなくもたれながら、ノアが勉強の終わりを促した。
いつも、このノアの集中が切らした態度が、オレたちの勉強会終了の合図になっていた。
「はいはい。今日はもう終わりね。
あとは、各自自由に」
それを聞いたノアは、真っ先に立ち上がり。
「じゃあ、オレはもうヘトヘトだし、用事もあるから、今日はもう帰るわ」
それだけ言ってフラフラな足取りで帰っていった。
「ちょっと、やり過ぎちゃったかな……」
「かもな、あいつを1人帰らせるの不安だから、俺が付き添う」
そういい、ルイも後を追うように帰った。
「ユウは今日どうする?? 私は食事してから、帰るけど」
「そうだな、今日はオレもぼちぼち帰るよ。あと、明日の勉強会休む」
「あら、そうなの? 明日はアンタと模擬戦しようと思ってたのだけど」
「ごめん、また今度な」
「いいなぁ〜。私も明日は息抜きしようかな」
「おいおい、別に遊ぶために休むわけじゃないだぞ。個人練習するんだよ」
反射的に余計なことをいってしまった。
それに咄嗟の嘘が下手くそだった。今更、個人練習なんておかしいと思われるかもしれない。
「ふーん。てっきり例の場所に、こっそり行くのかと思った。ユウたまに黙って行動するし」
「オレ、黙って行動したことなんてあったか?」
「結構、あるわね」
「ある、ある」
二人はキレイに揃って首を立てに振った。
そんなに行動力がある人間だったか、ユウは?
当たり前だが、記憶だけでは自覚できないものが多い。他人視点から見たユウと、記憶にあるユウでは、行動は同じであれ印象にずれが生じている。
今のまま、オレがユウの役をやるのはかなり無理があるのかも知れないな。
「まぁ明日は休みね。了解」
「……じゃあ、オレもそろそろ帰る」
「ユウおつかれ〜!!」
「お疲れ様」
元気なアミーと、そっけないアイナに見送られ、外に出る。そしてオレは少し薄暗い道を1人帰っていった。
※
「ねぇ、今日のユウ、ちょっと変じゃなかった?」
ユウが帰ったあと、食事の準備をしながら、二人は話をしていた。
長年、共に過ごしてきた友人の些細な変化に気づき、アミーは心配した様子だ。
「……そう? いつも通りだったと思うけど。どう変なの?」
「なんだろう、上手く言えないけど。いつもより距離を感じたっていうか、なんだかぎこちなかったかな……」
「ふ〜ん。アミーがなんかしたんじゃないの?」
「えぇ〜覚えな……。う〜ん?」
アミーは大きく首をかしげながら、記憶を遡る。
「ふふ。きっと、気のせいよ。
それに、もし何かやってたとしても。ユウは鈍いから、ほっといても問題ないわ」
「そうだね、ユウは優しいもんね」
「そうよ、問題ないわ」




