第95話 恥ずかしい独白
「これは……俺の恥ずかしい独り言だ。だから、聞こえても忘れてくれ」
勿論、返答はなかったが、それでいい。今はそれを求めている。
「そうだな、言わなきゃならないことはいっぱいあるけど……」
何を言おうか……ずっと考えて、考えていた筈の頭の中は、エリカの横に座ってから空っぽになり、用意していた台本は白く塗り潰されていた。
だから、思いついた事からポツポツと話始めるしかなかった。
「まずは謝っておく……。弱いなんて言って悪かったよ。
エリカは努力家で諦めずに、自分の可能性を常に模索してる、そんな奴が弱い訳がない。間違いなく……強いよ。
むしろ弱かったのは、俺の方だ。
俺が弱くて、エリカがまた傷つくことが怖くて、あんな事を言っちまった。
信念を否定するつもりはなかったんだ。ごめんな」
「……………」
とりあえず謝れたが、エリカは無反応だ。本当に聴こえてない届いてないのかもな……。
俺は静かな空気を嫌い、焦り口を動かす。
「まぁ、そんな訳だから……もう出場するなとは言わない。
けど、一つだけ。弱い俺のわがままを聞いてほしい。
実はさっき、エヴァに前座試合にはチーム戦があるって事を教えてもらった。
エリカは一人での戦いに拘ってるかもしれないけど、俺は友達としてエリカの力になりたいんだ。
だから……俺とまた一緒に戦ってくれないか?」
バラバラに散らばった思考を、雑に繋いだせいで、前後関係がめちゃくちゃとなってしまったが、いま伝えたいことは全て言えた。だから、ここからは…………。
俺はエリカの返ってくる筈のない。返答を待っていた。
そして長い独り言が、おわりを迎える。
「いやよ…………。私は弱い人と一緒に戦うなんて、ごめんよ」




