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セルゲイ視点 森の怪

 セルゲイ視点……


「一体……どうなっているんだよ……一体どうなってるんだよ⁉︎⁉︎」


「お、おちついてセルゲイ⁉︎」


「これが、これが落ち着いていられるかよ⁉︎ この森は異常だ……どうなってんだよ⁉︎」


 森の探索を開始してしばらくして……異常なことに巻き込まれていることに気がついた。


 最初におかしいと気がついたのは時間だ。


 銅等級冒険者たちと別れて何時間も森を彷徨ったと言うのに、夜が来ないのだ。


「もう少なくとも10時間は歩いてる……だと言うのにどうしてここには夜が来ない⁉︎なぁマレリア、これは何の魔法だ? 俺たちはどんな呪いをかけられたんだよ⁉︎」


「し、しらない……夜が来なくなる魔法なんて聞いたことない」


「っくそ、使えねえやつめ⁉︎ こう言う事態に対処するためにお前はいるんじゃねえのかよ」


「…………ご、ごめんなさい」


「っ……まぁいい。幸い食糧には余裕がある……元凶を倒せばこの森からも抜け出せるはずだ。僕達に何かを仕掛けている以上……あっちも近くにいるはずだからな」


「う、うん……」


 不安を拭うように僕はそう言ってさらに森の奥へと探索を続けた。


 だが、元凶はそれから姿を表さず、僕たちは森を延々と彷徨った……夜が来ないため分からないが、おそらく一週間は経過をしただろう。


「夜が来ない……どうなってるんだよ……こんなに長い探索、想定してないぞ」


「…………………………」


「おい、何とか言えよマレリア」


 僕の後ろを歩くマレリアは、五日を超えたあたりで喋らなくなっていた。


 言葉は聞こえているのだろうが、この異常な状況に心をやられてしまったらしい。


 耳を澄ましてみると、微かに小さな声で「ごめんなさい」と呟いているので喋れない訳ではなさそうだが……もうどうでもいい話である。


 森は完全に閉じられていた。


 気がついたのはつい三日前……北にまっすぐ歩き続けていたはずなのに、僕たちは例の小屋に戻ってきてしまっていた。


 始めは森の中に似たような小屋がいくつも設置されているだけかと思っていたが……中を探索したところ、僕が作った床の焦げ跡が見つかれば、嫌でも現実を直視しなければならない。


 森は閉じられ、完全に僕たちは袋のネズミだった。


 今は僅かな希望を持って……今度は村がある方角に向かって歩き続けているが。


 小屋から数十分も離れていない村が、四日も歩き通しだというのに到着する気配すらない。


 恐らくは結果は同じなのだろう……そう思ったところで再び森の奥の小屋に辿り着いた。

「……少し、ここらで休憩しようか」


 マレリアからは返事はないが、僕は構わず近くの石に腰を下ろすと、彼女も無言で近くに腰を下ろす。


「………………」


「……僕のせいだって思ってるんだろ」


「……………」


 マレリアからは返事はない。


「この小屋に火を放ったから……何かの魔法をかけられた、そう言いたいんだろ?」


「……」


 マレリアからは返事はない。


「だけどな、こんな得体の知れないもの……残しておくのは危険だって判断したんだ。僕は間違ってない」


「……」


 マレリアからは返事はない。


「そうだよ……ドロシーと銅等級冒険者に嵌められたんだ……そうだ、きっとそうだ⁉︎僕たちに手柄を奪われたくないから……奴らが僕を嵌めたんだ……あぁそうだ、だから僕の責任じゃない、悪いのはあいつらなんだよ」


「…………」


 マレリアからは返事はない。


「なぁ聞いてるのか……」


 顔を上げてマレリアの座っていた方向を見ると……マレリアは姿を消していた。


 あるのは……一本の木。


 いつの間にか人の大きさぐらいの木が一本伸びていて、なぜかその木がマレリアのローブと服を着ていた。


「……あ」


 ここでようやく……僕はこの森が呪われているということを思い出す。


「ど、どうしよう……助けなきゃ」


 口ではそう言いながら、気が付けば僕は冷静にマレリアの装備を回収していた。

 食糧に、水に、ランタンオイル……助けなきゃという言葉とは裏腹に僕の手は機械的に生き残るために必要な作業を行う。


「逃げなきゃ」


 荷物を詰め終わり、僕はあっさりマレリアを見捨てて森の奥へと歩き出す。


 もはや元凶を倒すなんて考えは頭から消えていた。


 死にたくない……そんな恐怖に支配された時。


「あっ………………ひっ」


 そいつは、姿を現した。


 □


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