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兄妹の絆が街を救う時

「へっ!?」


 困惑したスパーダは攻撃を止めた。ウインドがスパーダの顔をさして指摘する。


「君の両目……点滅していますよ?」


 戦い始めた時はランランと緑色に発光していた大きな丸い目が、今はホタルのように明滅を繰り返しているのだ。


「ああ、なんだ、そんなことですか。それはエネルギー切れが近いサインですよ。……って、えーっ!?」


 ウインドは思わず吹き出す。


「自分でわからなかったのですか」

「ま、まさかエネルギーの消耗が激しすぎて3分間しか戦えないんですかーっ!?」


 実際にはそこまで短くはないが、しかし魔女との全力での戦いは、エネルギー消耗が激しいというのは事実だった。


「え、えーっと……やっぱり降参とかしてくれませんかねぇ?」

「もちろん、お断りいたします」


 スパーダは手を合わせて聞いてみたが、そんなものに同意する方がどうかしている。勝利を確信したウインドは、すっかり余裕を取り戻す。


「ほら。刀でしたらあちらに落ちていますよ」

「あ、はい」


 まさかの馬乗りにされているウインドの方がそんなアドバイスをする始末。たしかに少し離れたところに鎖が絡みついた刀が落ちているが、悪いことに、一度立ち上がらなければ、その刀には手が届かない。

 スパーダは考える。今のままなら一方的に殴り続けられるが、おそらく倒しきることはできないだろう。気絶すら難しい。


「やっぱり刀を取りに行ったら、あなたは立つでしょうね……」

「もちろんです。サービスにはチップが必要ですよ、お嬢様」


 だがもうウインドを倒せる可能性があるのはそれしかない。馬乗りになっているウインドの上から急いで立ち上がり、刀をとりに走ろうとする。


「わはぁ!?」


 ウインドに足を引っ掛けられてスパーダは転倒した。そのまま這うようにして刀を拾ったが、振り返った時には、余裕の笑みを浮かべるウインドが、翼を広げてわずかに宙に浮いている。


「僕としては、あなたのエネルギーが切れるまで上空を舞っていてもいいのですが。しかし、それではあまりにも不服でしょう。そこで……」


 ウインドは翼をしまって地面へと降りた。右手の黒く硬質化した爪で、手招きをしてスパーダを誘う。


「地上でお相手しましょう。エネルギーが切れるまで。どうぞ、ご遠慮なく」

「や、やーっ!」


 刀を上段に構えたスパーダがウインドに襲いかかる。しかし、今やすっかりペースを握られた彼女は、その剣から冴えが失われていた。ウインドは苦もなくその斬撃を躱し、爪でいなした。


(そ、そんな……こいつを倒せなきゃ、みんなを救えないのに……!)


 スパーダは何度も斬りかかるが、そのたびに両目が点滅する間隔がどんどん短くなってくる。ほとんど点いているのか消えているのかわからなくなるほど明滅が短くなると、ついにヒューンというなさけない音と同時に強化服からパワーが完全に抜けてしまった。


「あ、ああ……」

「なるほど、とうとうエネルギーが全て無くなったようですね……ふん!」

「ほぎゃっ!?」


 ウインドはスパーダの胴体を蹴り飛ばした。スパーダは今までと違って踏みとどまることもできず、その体が猛スピードで屋上の縁へと飛んでいく。そのまま落下するのは目に見えていた。しかし、落ちなかった。


「おっと、これは失礼しました。僕の足癖の悪さをどうかお許しください」


 スパーダを蹴った後、翼を広げて追走したウインドが、スパーダの片手を握っているからだ。とはいえ、情けをかけているわけではない。スパーダの体は半分以上、ほとんどタワーマンションの屋上からはみ出してしまっている。唯一屋上に触れているのは片足のつま先だけだ。ティーカップでもつまむようにスパーダの片手に指先をかけているウインドは、少し力を抜いただけで彼女を奈落の底へ落とすことができるのだ。


「ひえええええ……!!」

「少し僕の話し相手になってほしいのです。かまいませんね?」

「……」


 ウインドの引っ掛けている指が、スパーダの指関節一つ分だけ滑った。


「ひいいいい!!話します!!話します!!なんでも聞いてください!!」

「どうも、ありがとう」


 聞きたいことはいろいろある。だがまずは彼女に仲間がいるのかだ。


「あなたがグレンバーンとアケボノオーシャンと組んでいるのは知っています。他に仲間は?」

「わ、ワタシに仲間を売れって言うのですか?そんなのごめん……」


 ウインドの引っ掛けている指が、再びスパーダの指関節一つ分だけ滑った。


「ぎゃあああああ!?ぎゃあああああああ!?」

(これは本当に口を割りそうにないな)


 ウインドは質問を変える。


「失礼しました。僕の質問の仕方が悪かったのです。訂正しましょう、今ここに駆けつけることができる仲間は何人いますか?僕も自分の身の安全が第一ですからね」

「ま……まぁ、それもそうですね。でも残念ながら0人ですよ!あなたたちが閃光少女を消しちゃったから!」


 脅されていても、そこはスパーダも語気を荒らげた。


「村雨ツグミは?」

「へ?なんで彼女が数に入るんです?」

(うん?村雨ツグミが暗闇姉妹ではないのか?それとも味方にも正体を明かしていない……?)

「この城西地区には、たしかにもう閃光少女はいないはずです。城北や、城東も同じ。では、あなたはどこの閃光少女でしょうか?」

「え、えーっと、ワタシは閃光少女ではないというか……」

「魔女ですか?」

「いや、それも違うというか……」


 以下略。


「ぎゃあああああ!?ぎゃあああああああ!?」

(ん?思い出しましたよ)

「もしかして、あなたは悪魔人間。人間と合体した悪魔ですね?」

「あ、はい……いかにも。たこにも」

(そうか、それで……)


 上級の悪魔しか作れない装備を彼女が持っていることへの説明がつく。この上級の悪魔とはとても思えないアホなヒーローもどき自身が作れないとしても、同格の悪魔に作ってもらうくらいの付き合いはあるのだろう。


(ここからは雑談かな)


 もはや仕事は放っておいても完遂される。有用な情報も特に得られそうにもない。暇つぶしに、自分にほんの少しでさえ恐れをいだかせたアホを嬲ってやるのも悪くない。


「しかし、わかりませんね。お見受けするところ、あなたは上級悪魔であると拝察いたしますが……」

「ええ、まぁ、はい……一応」


 たしかにスパーダの片割れは上級悪魔ではある。一見ウインドが形容する通りアホだが、人間と共存して破綻しないだけの知力をもっているのは上級以上のクラスだけだ。


「わかりませんね。それに何の意味があるのでしょうか?僕自身はもともと人間ではありますが、悪魔の力を得て、人間を超えた存在である魔女になれて、せいせいしているというのに。もともと純粋な悪魔という存在でありながら、わざわざ人間という穢れに身を染めるとは……」

「人間が穢れですか……!?」


 聞き捨てならない言葉であった。自分はまだいい。しかし、その言葉は人間としての兄である中村ジュウタロウをも侮辱している。


「あなたの人間時代の友人に、程度の低い人間しか周りにいなかったことを、心から同情させていただきますよ!」

「程度の低い?ふふふふ。まるであなたの周りには程度とやらの高い人間がいるような言い方ですね」

「全員ではありません。でもワタシは知っています!お腹をすかせた子供に、自分のパンを分け与えられる人間を!歩けない誰かを背中におぶってくれる人を!自分がどれだけ傷ついても、体を張って弱き者の盾になろうとする人を!相手がどんなに大きくても、正しいと思うことであれば立ち向かっていける人を!愛と勇気ですよ!それを知りたいがために、ワタシはこの狭間に生きているのです!ワタシがそれを守るために戦えるのなら、死んでしまってもいいんです!!」

「愛と勇気……」


 ウインドは自分の目に映るアホが本当に気の毒になった。


「そんな子供をしつけるような、幻想のごとき道徳に踊らされて、人間と合体することに決めたのですか。なるほど、そのような経緯があれば、現状を否認して夢の世界で生きようとするのも道理ですね。ですが、下をご覧になってください」


 この状態で下を向くのは気が進まなかったが、否定できる立場にないスパーダは渋々下界の様子に目をやる。


「見えるでしょう、弱き人間どもの本当の姿が。威厳も尊厳もかなぐり捨てて必死に逃げる者。自分のためなら平気で他人の物を奪う輩。助かりたいがためなら、自分の子供さえ差し出す下劣さ。下界の地獄はまさにその縮図。人間は、弱く、醜く、愚かなまま、そして死ぬ。それが本当の姿なのです」

「これが……人間の本当の姿……」


 ウインドからはスパーダの仮面で隠されたサナエの顔まではわからなかったが、言葉を失うその語調を聞いて、大いに満足した。

 だが、徐々に様子がおかしくなる。スパーダは下界とウインドの顔を交互に見ているのだ。なにやら気まずそうな忙しさで。


「あ、あの……たいへん申し上げにくいのですが……」

「?」

「この場合、やはり人間は捨てたものじゃない、って言うべきなのでしょうか?」

「はあ?」


 ついに頭がおかしくなったのかと疑ったウインドは自分も下界を見下ろしてみる。その光景を見るまでは、せいぜい地獄の進行度合いがまだ足りなかったのかと思った。しかし、違った。


「……これは!」


「落ち着いて避難してください!」


 交通課巡査長、本田は拡声器で声を張り上げる。次々に城西駅地下道東側出口へと飲み込まれていく市民を確認しながら、さらに続けた。


「列からはみ出さなければ、蝙蝠は襲ってきません!」


 蝙蝠たちが避難する市民へ目掛け急降下する。しかし、側に居た白バイ隊員がアクセルを吹かすと、その音に反応して四散した。白バイ隊員が乗っているバイクは、城西駅地下道東側出口から、一定間隔をあけて並んでいる。避難する人を守る音のバリアは、市街地を経由しながら、反対側にあたる駅地下道西側出口まで、輪となって連なっていた。


(やりましたね、中村さん!)


 巡査長本田もまた蝙蝠を遠ざけるためにバイクのアクセルを吹かし、さきほどまでの中村ジュウタロウとのやりとりを思い出す。


「音の屋根?」


 本田は最初、その珍妙な言い回しに困惑した。電話の向こうのジュウタロウが続ける。


「さっき試してみたんだ。えーっと、図鑑で見たんだが、蝙蝠は口から超音波を出して、それで……」

「つまり大きな音で逃げると?」

「そう、それそれ」


 なるほどバイクのエンジン音を鳥避けならぬ蝙蝠避けに使う発想は悪くないだろう。しかし問題がある。


「でも、どうやって白バイ隊を動かすんですか!?」


 そう、道路は蝙蝠たちにドライバーが襲われたせいで事故が多発し、交通網は完全に死んでしまっている。そもそも白バイ隊員たちが署に待機せざるをえない現状の原因がそれだ。


「歩道を走れとでも?」

「それもいいが地図に無い道を使いなさい。スナックこずえのある侵入禁止の路地、寿司屋雅の庭、高田さんちの畑、えーっと、メモある?」


 本田はジュウタロウがスラスラと述べる通路をメモしていく。物覚えの極端に悪いジュウタロウだったが、長年いつも聞き込みに行かされていたこの男は、そんな近道の事だけはすっかり憶えていた。


「しかし中村さん」


 本田は最後の、そして警察官にとっては決して無視できない問題を問うてみる。もっとも、本田はジュウタロウがそんなことを問題にする男ではないとわかりきっていたが。


「道路交通法違反、住居不法侵入、器物破損……違法行為のオンパレードですね」

「それは、そうですなぁ」


 ここで中村は「責任は私がとります」などとは言わない。違う課の、それも平巡査の言葉に、そんな重みはない。


「しかし街の命がかかっとりますからなぁ。なんとかなりませんか」

「なんとかしましょう」


 本田は即答した。おそらく懲戒免職は免れない。だが、それを賭けても動いてくれると、中村ジュウタロウが自分を信じてくれたことが嬉しかった。

 そして、そんな本田巡査長本人にも、そういった人望があった。隊員たちを集め、内容を説明した後、隊員たちへ問う。


「我々がこれからすることは、私が独断で動くことも含めて違法行為である。諸君らもまた懲戒処分は避けられないだろう。それでも街のためについてきてくれるか!」

「はい!」


 隊員たちの声が一人残らず揃ったところで本田は号令をかける。


「全員出動だ!」


 そして現在。

 本田は今頃どこかで呆けているである中村ジュウタロウを想う。なぜ彼が今回これほど的確に指示を出せたのか。


(要領の悪い中村さんのことだ。きっとこんな事が起こるんじゃないかと思った時から、何日もずっと考えこんでたんだ)


 長年城西地区で刑事をやっていたこと。それだけがジュウタロウの強みではなかった。彼はただひたすら、素直だった。愚直なまでに素直だった。悪魔や魔人の存在を「はい、そうですか」とあっさり受け入れる。あらゆる可能性を頭から否定しないで想定する。難事が待ち構えていると思ったら、杞憂とは思わず対策を考え抜いてみる。そして、そのためなら誰の話にも耳を傾けた。だから街の住民は、愚直なこの『でくのぼう』を愛している。本田もまたその中の一人。


(この人たちは、あなたが救ったんだよ。中村さん)


「えーっと、なんか変な雰囲気になっちゃいましたねぇ?」


 スイギンスパーダの中の人こと、中村サナエは、兄がこの避難劇に貢献しているとは知る由もない。

 セキショクウインドは沈黙してスパーダを見る。このヒーローもどきのせいだ!もしもスパーダが自分をここに釘付けにしていなければ、人間たちの計画が見えた時点で、自らが動いて破綻させてやることもできた。しかし、今となっては自分が降下して数人くらい殺したところで、オウゴンサンデーは満足しないだろう。

 人の命が救われた。中村兄妹はお互いが知らないまま、期せずして連携し、この街を救ったのだ。


「ここはあれでしょうか?人類には賢明なところがあります!一緒に見守っていきましょう!ということで一つ……ぎゃああああああああ!!」


 ウインドに指を離されたスパーダは、悲鳴のこだまを残して下に落ちていった。


「ああ、なんということでしょう。仕事は失敗しましたね」


 そんな独り言を発しながらウインドは階下への出入り口へ向かう。右手の黒く硬質化した爪を、普通の人間らしい手に戻しながら。


「これ以上仕掛けてみたところで骨折り損でしょう。ここは切り上げて次の機会を待ちましょうか」


 閃光少女がいないのは、なにも城西地区だけではない。城北、城東も同様だ。城南にいる閃光少女の二人はこちらの攻撃するタイミングがわからない以上、いないも同然。ならば再び人を殺して、蝙蝠たちに血を吸わせてその数を増やし、次の機会に備える方が懸命だ。


「ツグミさんもいなくなってしまいました。残念です」


 波動による効果は永遠に続くわけではない。自分がスパーダに殴られている間にでも回復し、逃げてしまったようだ。


「それにしても、あのおバカさん。ずいぶんひどく殴ってくれたものですね。おかげで耳鳴りが止まりませんよ」


 ウインドはスパーダが乗ってきたバイクが消えたことには気づいていなかった。というより、端から眼中に無かったためだ。そして、そのバイクは生きていることを彼女は知らなかった。


「ふぎゃああああああ!!」


 スパーダは地球の重力に引かれて地面に向かって加速する。その時、咆哮を上げてマサムネリベリオンが追いかけてきた。


「あっ!!リベリオン!!」


 リベリオンはこんな状況を予想して、すでに待機していたのだ。自由落下しつつもリベリオンの背に乗るスパーダ。


「うううう!!止まれ止まれ止まれー!!」


 なんとかタイヤをマンション壁面に接地させ、前後のブレーキで制動を試みる。重力を無視するこのバイクは、しかし浮遊力をもっているわけではない。ブレーキディスクが真っ赤に焼けるが、それでもスピードがつきすぎていた。


「こ、これで!!」


 スパーダは鎖をリベリオンに巻き付けた。その鎖はウインドがスパーダの刀を奪おうとした時に使ったものだ。たまたま刀についたままになっていたのである。今度は鎖の反対側の端を振り回す。


「間に合えー!!」


 なんとかマンション3階部屋のベランダに鎖を引っ掛けた。


「ああああああああああ!!」


 ターザンよろしく落下を振り子運動へと変換したスパーダたちは、マンションロビーの2階部分窓をぶち破って中に放り出された。ロビー2階の床に放り出されたスパーダは激しく背中を打ち、リベリオンもまた着地の衝撃で半壊する。頼みの綱の日本刀も、真ん中からポッキリ折れていた。スパーダが手探りで手動脱着ボタンを押すと、強化服が開放され、中からサナエが出てくる。なんとか生きているサナエだったが、しかし別の意味で死を覚悟せざるをえなかった。


「バイクと刀が……これはジュンコさんとお爺ちゃんに一回ずつ殺されますね……」


 疲れてしまったサナエは、しばらく目を閉じることにした。


『一階へ参ります』


 タワーマンションの最上階からエレベーターに乗ったウインドは、そんな電子音声に特に興味は湧かなかった。撤収である。別に屋上から飛び去ってしまっても良かったが、今日という厄日のせめてもの慰みに、地面に激突して潰れたであろうスイギンスパーダの死体を見ておこうと思ったのだ。そうでもしなければ、いつまでも続くこのひどい耳鳴りへの、鬱憤が晴らせない気がした。


『止まります』

「?」


 エレベーターの電子音声がそう告げた時、やっとこの吸血鬼はアナウンスに不審を抱く。ここは一階ではない。最上階から少し下がっただけだ。この地獄の一丁目に、一体誰がエレベーターに乗り込もうとしているのか。

 エレベーターのドアを挟んで反対側にいる少女が唱える。


「変……身……」


 セキショクウインドの耳鳴りが止まった。


『ドアが開きます』


 エレベーターのドアが開いて乗り込んで来た少女を、ウインドは少し驚いた後、快く招じ入れた。


「これは、これは……このような場所でお会いできるとは光栄です」


 ウインドは彼女の姿を観察する。彼女の服は、幾重にも影のような包帯が体を包み、まるで漆黒のドレスを形作っている。右手にある闇色の指輪は魔法少女の印。その顔には、ただ静かな氷の表情が浮かんでいた。


「天罰代行、暗闇姉妹」


 常闇の少女はおもむろに短い棒のような物を取り出す。彼女がそれをひねると、端部からダガーのような刃が飛び出した。極端に柄の短い槍のようだ。


「殺された者たちのうらみ、今晴らします」

『ドアが閉まります』


 彼女を連れて帰れば、今回の失敗の埋め合わせになるだろう。そう考えたウインドは慇懃に頭を下げた。


「愛しのトコヤミサイレンス、どうぞ僕と踊りましょう」


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