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最後の話し合い

 その後、ミルとロジンさんが合流してきた。

 三人で坂本さんの死体をどうするか考えた結果、坂本さんの第二の故郷である、あの世界に埋めることに決めた。

 幸い、行き来ができることは聞いていたので移動の問題は何もなかった。

 異世界に行った後も特に問題はなく、行った地点も前回いたこのあたりだった。

 それをぬいぐるみからもらった絹で包んで運んで埋めた。

 本当は坂本さんが言っていたあるお方の元へやりたかったがそれがどんな容姿なのかも分からないしどこで死んだのかも分からない。何よりもう死体はないだろう。


 そして帰ってきた俺たちはそれぞれの疑問点やこれからに着いて話すことにした。

 が、ミルの提案がありポータルの関係で早めに戻ったほうがいいとのことだったため俺の教室に戻ってミル達が通ったポータルを使ってミルの世界に帰った。


 研究室に戻ると、王様や、ミレリアさん、リカルドさんがいた。

 帰るとすぐに王様から色々な質問をされたが疲れが溜まっているのと話し合いがしたいということを伝えると理解してくれたのか宿屋に返してくれた。

 

 宿屋に着くと、片付けがされておりきれいな高級な元の部屋に戻っていた。

 

 まず、俺とミルが挙げた共通の疑問として「ロジンさんがなぜ生きているのか」というのがあった。

 すると、ロジンさんは話しずらそうに話した。


「あぁ、そのことか。お前たちも見ただろう。あの姿が関係している。」


「実は俺の一族、種族か。俺たちの一部にはある力を持っているものが稀に生まれるんだ。だが、その力を持っているか持っていないかを見分ける方法は一つしかない。それは一度死ぬ、ということなんだ。伝聞の情報だが、はるか昔、その力を持つものを崇めており、それを発見するために成人した戦士は一度処刑される、という文化もあったらしい、がそれは流石にやりすぎていると抗議されその文化は途絶え、次第にその信仰も無くなったらしい。そして、あの姿についてだが、あれは一度目に死ぬ時のみ変身し、何者かの命を奪った瞬間に変身が解ける、というまさに起死回生の反撃ってことだ。だから、次に俺が死ぬときは変身できなく、本当に死んでしまうのだが、ここで朗報がある。お前たちは気づいてないだろうが実は旅行者の報酬をもらっていて、今回は自分で望むものがもらえるタイプだったんだ。最初はお前たちに世界言語を獲得させようと思ったがどうやら他者への干渉はできないらしく、仕方なく俺はもう一度変身できるというのをもらった。だからもう一度死ねるというわけだ。ま、そんな簡単に死なないがな。」


 なるほど。そういうことだったのか。ロジンさんはその選ばれた者で、その力を使ってしまったということか。

 そして目標を達成したということはこれからどうするのだろうか。


「さて、俺の話はここらへんでいいか?」


「ちょっと待って。ロジンさん、次の目標は?っていうか目標を達成したら直ぐに次の世界に行くんじゃないのか?」


「あぁー、そのことだが、旅行者はもうやめた。と、言ってもいつでも再開できる。後、これも言っておきたいのだが、これからお前たちにはいくつかの選択肢があると思う。これから三人それぞれバラバラの世界で暮らすもいいし二人で一緒に暮らすのもいい。で、俺からの提案……一つの選択肢とだけ捉えてほしいのだが、旅行者になるのはどうだろうか。お前たちは十分強いからやっていけると思うし、頼まれたら俺もこのまま同伴する。何より、報酬で世界言語をとれたら俺を介さずとも会話ができるようになる。」

 

 そう言われて俺たちは顔を見合わせる。ミルは顔を少し赤らめている。まぁ、悪くないよな。ロジンさんが言っているのは結婚ということだろう。

 

「俺は……その、それでいいがミルはなんて言っているんだ?」


 そういうと二人で会話し始める。その言葉はまだわからない。いつかわかる日が来るのだろうか。


「蒼弥、いいらしいぞ。どうする。」


 じゃあ、もう答えは一つだ。

 俺はミルの手を握り、


「ロジンさん、俺たち二人で行くよ。二人で頑張らないと。これは二人の課題なんだし。そして、俺たちにはそれぞれクラスメイトたちの命がのってるんだ。簡単には負けないよ。」


「よし、そうか。応援する。よし。俺も再開するか!」


「え、やめたんじゃないの?もう再開?」


「あぁ。実は一旦やめたのはお前たちに別れを告げないまま消えるのは違うって思ったんだ。せっかく、生まれに恵まれ、その力を使ってまで生き残ったんだ。ここで別れてはその意味がなくなってしまう。だから残るという意味でやめたんだ。」


 そうか。ロジンさんは絶対に最初は旅行者として目標の対象としか俺たちを見ていなかったはずだった。なのに、今、目標を達成した今でもこうして親身に接してくれるのはロジンさんの俺たちへの評価が変わった、ということだろうか。


「お前たちはこれから王達に色々報告とかしなきゃだろうから俺はそろそろ行くよ。じゃ、またな。」


 そういうと、ロジンさんはおもむろに後ろを向いた。そして、なんの猶予も演出もなく姿が消える。

 

「行っちゃったな。何か最後に言えたら良かったんだけど。」

「ミル、じゃあ俺たちも行こうか。」


 そして俺はミルの手を握り目を瞑る。

 旅行の仕方は以前、ロジンさんから教わっていた。

 そもそも、誰でもできるわけではなく、願うことで今いる世界の神に申請のようなものができてその神が強さや人格を判断して良かったら招待されるらしい。よほどの悪行をしてなかったら人格面では大丈夫らしく基本戦士が多いからか多少人を殺していても問題がないらしく逆に評価されるらしい。強さに関しては俺やミルの実力があれば十分すぎるらしい。

 そう言われていたこともあり、特に緊張はしていない。

 神に願ってみると少しの間何もなかったが十秒程度で何か不思議な感覚がする。目を開けてみると周りは宇宙のような景色が広がっており、足場はない。立っているが地面はないという人生初めての経験に驚いてしまう。

 そして気になることがもう一つあり、俺とミル以外に誰もいない。

 そう思ってキョロキョロしているとどこからか声が聞こえてくる。


「ようこそ!さまざまな世界を救ってくださる旅行者よ!これから一回目の旅行ですね?そしてどうやら説明はいらないようですね。」


 おちゃらけたような神の声を聞きながら思う。

 これからおそらく第二の人生が幕を開ける。プロローグは終わったのだ。

 

「それではいってらっしゃーい!!」

 そんな甲高い声と同時に俺達の運命はねじ曲げられた。

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