憩いの場
名付け
それからしばらく歩いて狼の人の寝床に着いた。
そこは茂みに隠れている場所で広さは2人でちょうどいいぐらいで俺達には少し狭い。
何回かしたであろう焚き火の後が真ん中にありそれを囲むように倒れて切られている木が2本、ついをなすように置かれている。その場所はうっすらと来たことあるような場所だがよく見てみると茂みの奥に見たことも無いような花が咲いていたりしている。耳をすませば川の音が聞こえる。この辺に川なんてあっただろうか。
ロジンさんは入口の遠い方に座り、俺と彼女は近い方の横木に2人で座る。
「名前どうしよっか」
彼女はそう言いながら木に火をつける。
「なんか決まった?」
そう彼女に聞かれたが正直名前案についてはなんも考えてなかった。
「うーん、特に……かな。」
そう答えると彼女は
「私は、狼の人って書いてロジンさん!はどうかな?」
といった。
完全に日本語ベースの付け方な気がするがそこら辺は俺がそう聞こえているだけなんだろうか。
「ロジン、かー。本人はどう?」
「ロジン。いいんじゃないか?」
本人もそんなに重要そうに決めてないということは俺が思ってるより重く考えなくても良さそうだ。
「じゃあ、ロジンに決定ね。」
そう彼女が嬉しそうに言うと、ロジンは
「2人の名前をそういえば聞いてなかった。お前達には名前があるんだろ?」
と聞く。
「俺の名前は篠崎 蒼弥。彼女にはこの声が聞こえてないから通訳してくれ。」
そう言うとロジンは「あぁ。」と軽く返事し彼女に伝える。
「篠崎 蒼弥ね。え、名前が2個あるの?」
彼女が驚いてそう疑問を口にする。
苗字のことを知らないのだろうか。なんて説明すればいいんだ……。
「あー……篠崎は親の名前みたいな。家族を表すための名前なんだ。だから、俺の名前は蒼弥ってことになるな。」
多分これで納得するだろう。
ロジンはそれを彼女に伝え2人で納得していた。
「あ、私の名前はミル。1個だけだわ。」
ミルか。
ミルはどんな反応をしてくれるか目をキラキラさせているが正直特に反応するところがない。
「すごーい」とも違うだろうし。
「よろしくな、蒼弥、ミル。」
返答に困っていたらロジンが繋げてくれた。
俺は「よろしく」とだけ言ってミルにも伝わるように頭を下げた。
それから俺達はさっきの戦いの話をした後、それぞれの出自の話をしていた。
「俺はさっき言った名前が無い国、「スローン帝国」に居たんだ。その国はな……」
その国はロジンが言うには武力が凄く大きかったらしい。先進的な技術があるとか立地が良いとかではなく、その地に住む種族が総じて強いらしい。ロジンさんのような種族を含めて6種類の生物が協力してくらしていて、それらは狼、蜂、兎、蟻、人間、猫の6種類。こっちの世界の尺度で言うと人間がそれらと対等に暮らしていることに納得しなくて内戦が起きる……みたいな事が起きそうだ。まぁ、世界が違えば同じ人間でも考え方が違うのだろうか。
それからしばらくロジンさんの国のことや世界のこと、それから今までの世界での話を聞いていた。
そんな話を聞いていたら、さっきの蕾との戦いは日常茶飯事というか、そんなに珍しい接戦ではないようだ。
それでロジンさんの話は終わった。
「次は蒼弥について聞こうか。」
とロジンさんがそのままの勢いで言う。
「あぁ、分かった。俺はこの世界と全く同じ世界にいたんだ。俺の世界には龍や爪が異様に長い人間、建物よりも大きい蕾なんて無かったが。そして、魔法もなければ縦に1m飛ぶのも一握りの人間にしか出来ない。俺のいたこの世界には80億の人間がいて、色んな人種がいたんだ。同じ人間で同じ世界の人間なのに何回も争いをする馬鹿な生物だ。それでも、2人の世界にあるか分からないが「科学」って言うものが凄く進んでて、それは人間と同じような知性を持った非生物を作ったり、ものを燃やすことで空を何百人も乗せて空を飛んだり、深海に探索に出たり出来るんだ。他にも科学ってのは色々あるらしいが俺にはあんまり分からないんだ。」
俺がそう話しているとミルの為にロジンさんが翻訳しながら話している。それを待ちながら語ったからか結構な時間がかかった。俺の世界の話はロジンさんの話よりもミルが目をキラキラさせていてロジンさんも興味深そうに聞いていた。
「じゃあ、俺の世界の話はここら辺にしといて、次は俺自身の話だな。
俺は高校生……っいっても分からないか。なんか、色々な事を学ぶ歳なんだ。自由なこともあんまり出来ないけど、他の世界から見たらよっぽど平和で自由だろうけどさ。そこで俺は普通に暮らしてんだ。周りの人間と何一つ変わらない平均的な暮らし。色んな葛藤もあるし幸せもあった。なのに。クラスメイトっていう、なんだろうな。仲間みたいなのがいたんだ。それが突然死んだんだ。全員。そしてそれを俺が救えた。もっと力があったら確実だったと思うけどあの時の俺でも多分救えたんだ。なのに、救わなかった。2人とも、軽蔑していいよ。俺はそうされるべき人間なんだから。」
2人の顔が暗くなる。
「あぁそんな暗くしないくてもいいよ。俺は、もう、吹っ切れたから。大丈夫。」
いたって、平気な声でそう言う。
それでも2人の顔は変わらない。
「あのさ。」
突然ミルが口を開く。
「私の話をしていい?」
俺の話を遮ってまで今したいのか。別に俺もあそこで話は終わりだったからいいけど。
「私は蒼弥が来たあの世界に住んでたの。
で蒼弥と私があった場所あるじゃん?そこって私もよく分かってないんだけど、各地に召喚される魔獣を集める施設なの。それを兵士たちの練習相手にしたり、罪人達の処刑に殺させたりするの。なんであの部屋に蒼弥がいたかは分かんないけどね。
で、私達は、私は、私もクラスメイトがいてね、その中の一人がボイコットを起こしたの。その連帯責任であの施設に送られて反省。みたいな感じ。」
あの集団はクラスだったのか。
え。ってことは。
あの惨劇がフラッシュバックする。
「蒼弥は今思い出した?あの時なんも出来なかったんだよね。私があの時……いや、もう無理だったのかな。喧嘩が起きちゃってね。どんどんヒートアップしてって、魔法も使うようになって……そこからは蒼弥が見た通り。
あの時私は隠れてたの。あの時は「怖い。死にたくない。傷つけたくない。」っていう感情で隠れてるって思ってたんだけどさ。今色々あって思い返してみたら「人殺しになりたくない。私だけは生き残ってそのまま綺麗な私のまま帰りたい。」なんて感情だったのかなって。引いちゃうよね。結局は私が私を可愛がってただけ。」
……なるほどな。
「同じだ。」
思わずそう口にしてしまった。
そんなの、俺と同じじゃないか。俺だって、死にたくない。俺だけは生き残りたい。なんて一心でみんなを見殺しにした。
するとミルは突然泣き出してしまった。
その森に響くぐらい大きな声で喚いている。
俺は感傷的な気持ちになる。
周りの音が聞こえないのかはたまた誰も話してないのか、森は静けさに包まれている。ミルの泣き声はどうにも森にあっているのか俺の今の気持ちとあっているのか分からないが耳障りではない。
――突然、後ろを触られる。
振り返ってみるとぼやけたロジンさんがいた。
ロジンさんは俺とミルを両手に抱き寄せて何も言わない。
俺の視界は神工神眼によって視力が抜群に良くなっているにも関わらずよく見えない。立ち上がるロジンさんに気づけなかったぐらい。
目の方に注意を注いでみると目の下が冷たく濡れている。神眼を通してもそれは解消されずに視界を埋めている。
それから。――誰も何も喋らずに夜が深まっていき、焚き火の火が消える。その頃には俺とミルは肩を寄せあって寝てしまっていた。
こんにちは!桜坂神楽です!!
毎日投稿みたいになってますが全然違います笑
モチベ高いだけです。
最近、カービィ買ったんですけど楽しいですね
もうクリアしちゃって今はコロシアム頑張ってる感じです。
ガチャも4番以外はコンプリートしました。
ということでカービィやるので今日はここら辺で!
読んで下さりありがとうございました!
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次回もお楽しみにー




