蕾と狼 5
他の人は聞こえていないのか……?
「あのさ。」
「うん?どうしたの?」
「どうした、名前が決まったか?」
「いいや、違くて。声が聞こえてるんだ。ずっと。あの蕾から。ちょっと行きたくて。」
「蕾から声?聞こえないが……。君は聞こえてるのか?」
「いや、私も聞こえない。」
「行ってもいい?」
「危険じゃない?行くならみんなで行こうよ。なんかあっても勝てるでしょ。」
「あぁ、そうだな。3人で行ってみるか。」
「ありがとう。」
ゆっくりと歩き出す。
道中彼女は名前の事を考えていてあの人は警戒していた。
俺はと言うと実は俺も名前のことを考えていて彼女が考えた名前が俺には日本語に聞こえるが彼女は彼女の日本語では無い言葉であの人には日本語でも彼女の言語でも無い言葉で聞こえるということは果たして俺達が決めた名前の……由来というか、そういうのがどうなるか気になる。普通の言葉は意味があってれば通訳が可能というイメージがあるが名前はその1文字1文字に意味がある場合があってそれが全部、全員に共通して理解出来なければ名付ける人と名付けられた人が可哀想だ。
そんな、割とどうでもいい空論を考えながら歩いているとあっという間に目の前まで来た。
目の前まで来ても攻撃は一切なく。
段々と聞こえてくる声は大きくなるがそれに乗せられる感情はなく。
琥珀の中を覗いてみる。
そこには裸の女性が、20代後半ぐらいだろうか。こちらの尺度で言うと。
「聞こえてますか?」
そう話しかけると
「聞こえてるけど声に出さなくてもいいよ。」
と返ってきた。
その声も2人には聞こえてない。
俺は声に出さずに「どうすればいいんですか?助けますよ。」と言うと
「この石を砕いて私を殺して。砕かないで殺してもいいけど。」
と言われた。
殺すか……。
人は殺したくないなぁ。
あの世界で1度だけ人を殺した。
それは正当防衛……っていう言い訳がある。
今回は「人助け」……なんて馬鹿げた言い訳がある。
だから殺す。
なんてことは許されないだろう。
相手は死にたいようだが明確に意識はあって、それで動けなくて、俺たちに敵意はなくて。
そんな人を殺せるはずがない。
かといって、仲間に手を汚させる。という案が浮かんだがそれはそれで……なんかね。
でもこれで殺されなかったら多分この人は死ぬまで……死ねるまでこのままだ。
それは嫌だ。
そんなの、この人にとっては生き地獄……死ぬより嫌なこと、なのかもしれない。
そしたら、俺はこの人を殺すよりも残虐であることになる。
その方が俺は心が痛まない……かもしれないけどそれは単なる逃げで。自衛でしかなくて。
俺はこのまま結論を出せないかもしれない。
あの世界で称号「人殺し」を貰ったが「人殺し」になるつもりはもうない。
俺の心に、かつてのクラスメイトに何回も聞いてみても「いいんじゃない」なんて甘えた言葉しか帰ってこない。
それが出来たら今悩んでない。
甘えていいのだろうか。甘えてしまいそうだ。
どんどん自分に甘くなって考えれば考えるほど「やっても大丈夫」「やった方が早い」「これはノーカン」って考えが頭を支配していく。周りを見てみたら2人が心配そうな顔をしている。これは俺に与えられた試練だ。2人には関係ない。
――もう、やっちゃおう。
色々考えて色々葛藤してその結果諦めた。
これを許してしまうことで自分の何かが壊れるような気がするがそれでも。
もう俺には限界だ。
「分かった。殺すよ。なるべく苦しまない方法でやるから。」
杖を持つ。2人は何をするのか驚いてる。
「死、1人、粉砕、眠り、痛覚減少、」
「2人とも、あの後ろのやつなんだろうね」
俺はそう言い魔法陣を光らせる。
魔法陣が黒く光る。
「後ろにいたあの龍なんだろうね?」
「あんなんに襲われたらひとたまりもないよなぁ」
「そうだね。さ、行こっか。」
俺はそう言い2人の背中を押し出す。後ろは向かせないように強く押して走る。景色はすっかり暗くなっていて肌寒くなっている。お腹も空いていて眠気もピークだ。
今日はゆっくり休もう。
こんにちは!
蕾と狼完結です!
蒼弥くん…って感じですわ。
実は3~5まで連続で書いたんですけど感極まっちゃって…笑
皆さんはどうでしたか?ぜひ、感想で教えて貰えると嬉しいです!
あとデータけしかけて焦りました。
もう言うことない!
Twitterフォローしてください!評価とかコメントとかしてください!桜坂神楽でした!
次回も楽しみにしろよな!
(いつ投稿出来るか分からないけど)




