蕾と狼 4
「ねぇ、もう魔力ないんですけど。どうにかして!」
「いやいや、それでもすごい魔力量じゃないか?普通だったら気絶してるぞ?」
「どうでもいいけど私はもう無理。戦えない。休むわ。」
あれ?なんでこの2人は会話出来てるんだ?
俺の声は彼女に届かないのにこの人の声は彼女に届くのか。俺の声もこの人に届く。この人の声も2人に届く……。
この人は言葉の壁がないのか……。
「ん?どうした?なにかあったか?」
そう聞かれてはっとする。
「ん。いや、言葉通じるんだなって。」
「何?何話してるの?」
やっぱり俺の言葉は彼女に通じてないみたいだ。
「……お前たち、言葉が通じてないのか?どういうことだ?」
俺が説明する。
これまで、あの世界ではどうだったか、この世界に来てどうだったかを伝えた。伝えるのは言葉だけで俺がこの世界ではないこの世界からあの世界に行ったこととかは言わない。何となくそうした方がいいと思った。
すると、
「なるほどな……。お前たちも旅行者なのか。」
とらべらー?なんだそれ?聞いたことがない。
間髪なしに、
「お前達の目標はなんだ。あ、それより先に言葉について教えた方がいいか。
言語は世界によって当たり前に違う。同じ世界でも違う言語を使うだろうがそれとは話が違う。同じ世界だとある程度学習すれば理解できるようになるが違う世界同士だといくら学習したところで世界が理解することを許さない。」
世界が許さない?規模がでかすぎる。
「ちょっと待って。でもあの世界じゃたしかに俺の言葉は聞こえていたし、この世界ではあんたの声も彼女の声も理解できる。それはどういうことなんだ?」
そう疑問を声に出すほかなかった。
「それは世界の加護だな。俺らは例外だが、お前達の声の聞こえ方に関してはそうだ。その人の生まれた世界ではその世界の神が加護を与えているとされているんだ。」
加護……それでいうと召喚された時の武器みたいなものか。
「え、加護ってそれだけなの?違う世界の言葉を理解できるだけ?」
そうだろう。言語理解は異世界召喚者に当たり前についているデフォルト機能だ。スキルや加護と言うにはしょぼすぎる。
「お前……それだけって……。凄いことじゃないか。いくら学習しても理解することの出来ない言語を聞き取れるようになる。それは人類未踏の叡智を得ることと同義じゃないか?」
そんなか?
いささか大袈裟な気もするが……。そんなものなんだろう。
「え、あなたは例外ってなぜ?」
神が与えている加護よりも凄いことをしていることになる。
それは神は許すのだろうか。排除とかされそう。
「そういえば、お前達のこの世界の目標はなんだ?」
また、目標の話に戻った。話を変えられた?
うーん。そういえばあの世界に行った時、女神に「魔王を倒せ」なんて言われたがあれが目標か?
でも、あの世界から移動しちゃったが。
「目標?私はそんなのないわよ。蒼弥も聞いてないんじゃない?」
そうだよなぁ。
「あぁ、聞いてない。」
魔王は違うってことにしよう。よし。
「え?ちょ、お前達。どうやってこの世界に来た?」
「どうやってって……ポータルみたいなとこを通ったらここで……」
「は!!??ポータル!?なんだそれ!?おいおい、嘘だろ……。旅行者じゃないってことか?でも!そんなことが可能なのか?」
さっきからトラベラーってなんなんだ。
「トラベラー?ってなんなの?なんかそういう仕事?」
「そうか、旅行者じゃないってことは分からないよな。旅行者ってのはな、無数にある世界を転々としながらその世界で課せられる目標をクリアする人達のことを指すんだ。その目的は人によって違うが大体は力を得ようとしているか、慈善活動だ。
目標はその世界において現在必要なものの場合が多い。例えば災害を止めろとかある魔物を殺せとかある人物を守れとかある国を戦争で勝利に導け、とかだな。」
「それは達成しない限りその世界にいることになるし目標は変えられない。」
「え、じゃあ、目標を達成しないまま世界を移動したらどうなるの?」
そう聞くとため息をついて
「あのな?世界ってのは移動できないんだよ。普通。
お前達が世界の異常。分かった?」
「なるほど。分かった。」
「じゃあ、続きな。その目標を達成するとその世界の神から呼び出されるんだ。それで報酬を得ることができるんだ。神によって全然違うが報酬を選べたりその神が決めたり大量の金ってだけのパターンもある。そして、その後は産まれた世界に戻るかもう一度、旅行するか選べるんだ。」
なるほど。だいぶ理解した。
「あなたはどれくらい報酬を貰ったの?」
「身体能力が2倍ともう1個身体能力が2倍、魔力の扱いが天才級になる、青龍刀の扱いが達人級になるのとあとは「風雷」って能力だな。」
待て待て、貰いすぎじゃないか?
あと天才級とか達人級って自分で言うのか……。
「天才級とか達人級って自分で言うのかって思ったろ?これは等級が決められていてどれくらい上手くなるかを指定するために生まれた世界共通の尺度なんだよ。俺が言いたくて言ってるわけじゃない。」
……見透かされた。そういう用語があるんだね。うんうん。そうだね。
「ということは?あなたは世界を5個も移動してここで6個目?」
「いや、言い忘れていたがもう1個「世界言語」を貰っているからここで7個目だな。そして、その能力のおかげで俺の言葉は誰でも理解できるし俺はどの世界の人間の言葉でも理解出来る。」
点と点が繋がった。そういう能力なのか。教えてもらおうと思っていたが無理なのかもな。
「あ、そうだ。」
ん?彼女が口を開いた。
「あなたってなんて名前なの?聞いてなかったよね?」
そうだ。名前。
すると、驚いて「名前か、名前。名前。名前か。」
と繰り返した。
「名前が無いのか?」
そう聞くと
「ないというか必要なかったというか……持てなかったのだ。」
持てなかった?そんなことあるのか?奴隷とか?いや、にしてはネックレスとか高価そうなものをつけているし奴隷がそんな世界を移動する趣味が許されるはずがないだろう。
この問題は言いにくそうにしてたからナイーブなものなのだろう。慎重に扱わなくて……は……。
「え?名前が持てないってどういうことなの?」
くそ、ズカズカと聞きやがった。
それに少しだけ驚いて
「俺は、俺のいた世界の俺のいた国は王や貴族、その従者達だけが名前を持つことを許されたんだ。それは庶民が尊敬を表すように呼ぶために必要だ。あとは単純に差別化を図るってのもあるだろうがな。でそんな習わしが建国からあったもんだから俺達は世界を移動するまで全世界がそうなのだろうと思っていた。今でもあの国に住んでいる人達はそう思っているだろう。そんなんで俺は名前を持っていないんだ。まぁ、今まで不便してなかったしそれが普通だと思っていたのが抜けてないってのもあって必要としてないんだけどな。」
なるほど。言語とかに限らずその世界では自分が住んでいる世界と比べるとありえない風習だったりがあるんだな。カルチャーショックというものか。
「え、じゃあさ、名前つけようよ。私達で」
彼女がそう言い出した。というか、彼女の名前まだ分かってないな。
「名前をつける……?いいのか?」
「うん、いいよ。」
彼女は「うーん、何がいいかなぁ」とかブツブツ言っている。
そして、俺は考えているふりをして耳を澄ます。
さっきからなにか聞こえている。
「……て」「……て」「……すけて」
ん?もう少しで聴こえる。
「たすけて」
たすけて!?
声の発生源はおそらくあの蕾。今となっては中身が丸見えだ。神工神眼でよくみると琥珀のようなものの中に人のような姿が埋まっている。
そこだろうか。
他の人は聞こえていないのか……?
こんにちは!
無事遅れなかった桜坂です!
蕾と狼ともう長いですね笑
もうすぐ終わるので!
個人的に狼さんの登場は大事にしたいなって思いまして…笑
予約投稿でもうあとがき書いたのでもう書くことないです!
あ、Twitterフォローお願いします!
気軽にね笑
じゃあ、読んで下さりありがとうございました!!
次回もお楽しみくださいね!
次回は日曜日の10時に投稿します!午前です!
では、桜坂神楽でした!!




