始まり
その後色々と常識や目標を教えてもらった。どう生きればいいか、倒すやつは誰なのか、その他諸々沢山教わった。
全部覚えられないと思ったが不思議と脳に張り付いた
なにかの力だろうか。
「それではいってらっしゃーい!!」
そんな甲高い声と同時に俺の運命はねじ曲げられた。
意識が戻ると薄暗い建物の中にいた。
匂いは不自然な程になく、なにかの気配も音もない。
そこは薄暗いというかもはや暗闇だ。
光がない。夜、という感じでもない。
出口……外への穴がないのだ。
唯一あるのはさらに暗い通路のみ。
進むしかやることがないのでとりあえず進んでみる。
俺は全員分アイテムを貰ったので沢山持たされている。
長めの剣や短い剣、暗器、杖、使い道がよく分からない四角い箱や色々だ。
ただ腰に提げてる分にはそれほど重くない。
あとは見当たらないが……どこかにまとめられてあるのだろうか。
この腰にある革製の鞄だろうか。
少し触ってみたが中は空でよく分からない。
先に進めばヒントがあるのだろう。
そんなことを考えながら通路を進むとさっきまでいた部屋ぐらいの暗さの大きめの部屋に出た。
明るくなったとはいえまだ暗い。
黒いなにかがもしあったとしたら気付けないぐらいには。
そして俺は気づけなかった。
突然胸に衝撃が走る。
暗闇で注意していたとはいえ驚いた。
いきなりすぎてよく覚えていないがおそらく小型の生物
武器で攻撃された感じはなく体当たりのような感覚から。
そんな結論を出した。
甲高い鳴き声も聞こえる。
小さくて甲高い鳴き声……ということはコウモリみたいな物か?
俺はこのコウモリを倒さなければならない。まだ状況が掴めていないがとりあえず最初に手に持っていた大きい包丁を握った。
そしてこの状況を推理するに異世界で暗い建物ということはダンジョンのような空間でそこのコウモリということは……魔物とかそういうの……確実に敵だと思う。
なにか影が見えるのでそっちの方を向きながら初めて握る武器を少し振ってみる。
早めに振らないといけないのかどこの筋肉を使えばいいのか目の前にいる悪意を感じつつ心臓の鼓動が早くなる。
コウモリとはいえ生物を殺すのか…?今度は確実に自分の手で。そう思うと包丁を握る手が震える。
そういうことを思っていると、目の前にコウモリ……思ったよりもコウモリの形をしたコウモリが迫ってきた。
今回は来ることがわかっていたため視界に入れれたし反応もできた。
コウモリは知っている姿と大きく違い開いた口が恐ろしく牙がある。噛まれたら一環の終わりだ。一撃目で噛まれていたらそれでゲームオーバーだった。そこは自分の幸運に感謝するしかない。そして殺すのはすごく躊躇いがあるが……殺すことより死ぬ事の方がだめだ。生きなければならない。
包丁をコウモリに向かって振る。
できる限り早く、強く、開いた口を横から。
次の瞬間、ドサッと音がした。
コウモリだった。
まるで口裂け女のようになって死んでいる。
倒したと確信した時、奥の方の扉が開き、一気に光が刺してきた。
その光のおかげで部屋が明るくなったのでいろいろ試そうと思う。
まずは鞄だ。
出し方をまずみつけたい。
色々触ったがダメだった。
この鞄を開けたい……そう思っているとSFっぽい表示がでてきた。
いかにも異世界という感じだ。
その表示をいろいろ押してみる。
ポチポチいろんな場所を触っていたら爪の武器が出てきた。
ただたまたま出ただけだから分からない。今どうやった?それっぽい動きをしていると次は斧がでてきた。
今のでわかった。武器の名前の表示を外に出すイメージでスワイプすれば出るのか。
次はアイテムの入れ方だ。
外に出したアイテムに表示はないためさっきの入れ方の逆という訳では無いか。
となると残る方法は普通に入れるしかないか。
明らかに入らなそうだが……入った。
明らかに入らない大きさでも無理やりいれれば取り込まれるみたいだ。
鞄に関してはもういいだろう。
上限はあるのか……という問題はあるが今は気にしなくていいと思う。
入らなくなったらその時はその時だ。
そして本命の各アイテム達。
本当に色々ある。
まぁ40人分だからしょうがないが……防具もアイテムも沢山あるな。
まず最初に出た爪だ。
爪は他の武器が持てなくなるので却下だ。
次に手前にあるのは四角い箱?みたいなものがある
何に使うんだ……?
魔道具的なやつだろうか。
色々やってみたがどうやって起動?するのかが分からない。
そもそも魔力とかそんな概念があるのかすら分からない。
兎にも角にも早いうちに魔力とかその辺を学んでおきたい。
異世界で魔道具もあるんだ。
確実に役に立つだろう。
というか、聞くにしても誰かいるのか?
入口はないのはどういうことなのか。
入れば無くなる判定なのか?
そもそも音が聞こえない。
ただ防音性能が高いだけの可能性があるがこの先強い魔物が出ると仮定するとそれに応じてそれと戦う人も強いだろう。
何かしら大きな魔法や地響きがあってもおかしくないがそれもない。
あとは……結界のような魔法的な物が妨害をしてる可能性もあるか。
ここは異世界なんだ。何があっても不思議じゃない。
……いやいや、こんなこと考えたところできりがない。
希望に縋るから人間は絶望するのだを
考えるのは常に最悪の未来。
この先には理性のない魔物だけで自分はどうやっても魔力は使えない。
そうだ、そんなもんだ。
突然どこか分からない世界に飛ばされてそしたらほぼ監禁みたいな出口のない場所で戦わされている。
あーあ、こうやってネガティブに考えるのは昔からの悪い癖だ。
意識を装備に戻そう。
次に目に付いたのは……大きめの斧だ。
持ってみるとかなり重いがその分威力は高そうだ……。
最悪振り回して投げるみたいな使い方もあるかもしれない。
腰に下げておこう。
次は……弓だな。
弓はどうだろうか。
飛び道具はあった方がいいしコウモリみたいなやつが出たら場合によっては一撃で倒せるかもしれない。
あるにこしたことはないが素人にも打てるものなのだろうか。
矢は沢山あるので一回壁に向かって打ってみよう。……だめだ。
思いっきり弦を引いてみても矢は直ぐに落ちる。
弓はなしだ。
矢は……最悪投げればいいか。
俺はハンドボール部だったので投げには自信がある
矢筒は腰に下げよう。
刀は1回持って振ってみると意外と軽くて使いやすそうだ。
次は聖剣。
何か特別な力がありそうなものだが俺は勇者じゃないのでそれは扱えない。
ただ剣としても1番強そうなので次の階層からはこれを使おう。
そして片手剣。
シンプルでいい。
何か聖剣を使えなくなった状況になったら使おう。
一際視線を奪うのは忍者の武器セットみたいだ。
クナイに手裏剣に短刀に吹き矢、煙玉、何か薬がある。
暗器は使えるだろうからこれも使おう。
薬みたいな液体は……おそらく毒殺用の毒だろう。
扱えれば強いだろうが知識もないので扱えない。
他にも色々見てみたがどれも普通に持つだけじゃ扱えないような武器だ。
例を出すと、大量のカード……イメージはTCGのデッキのようなやつだ。
他には指輪や宝石、数珠に札に光っている卵。さらにはコンタクトレンズまである。
それを踏まえ魔力とか関係なく使えそうなものは最初に持っていた包丁を始め鎚、大盾、槍、鎌、双剣、なにか文字が刻まれている長い剣ぐらいだ。
半分も扱えない……。
そして武器を出したつもりだが1式の鎧が出てきた。これが武器ということだろうか……とりあえずこれを着てみる。
見た目に反してそこそこ軽く、丈夫そうだ。
それに恐らく片手剣の相方である丸い盾もある。
これを剣を持たない腕につけて……これで大丈夫だろう。
そして、腰に武器を提げる用の皮のベルトのようなものがあり、そこにさっきの武器をつけるとすっと重みが消え、また持ち上げると重みが戻る。鞄のベルトバージョンということか。活用しよう。
使わないものは鞄の中に入れて先に進む。
ちなみに袋にあった武器は、〈聖剣、弓矢、杖が5本、クナイ等、槍、立方体が2個、爪、双剣、長い剣、宝石、鎌、手袋が2個、鞭、指輪、本、弾の出ない拳銃、カード、数珠、筆、大きいハサミ、鎖、卵、フラスコ、違う雰囲気の札が2種類、大盾、鎚、蛇腹剣、鎧、コンタクトレンズ〉だった。