どこへでも行けるさ
「さくら丘公園ね!」
「いいよ!」
昼休み、僕らは放課後の約束をする。学校が終わると、ランドセルを家に投げ込んで直ぐに駆け出した。さくら丘公園は少し遠い。
途中で友達に「どこ行くの?」と聞かれ「さくら丘公園」と答えたら驚かれた。
僕は慣れっこだけど皆は違う。
皆は自転車。
欲しいと思った事はない、チェーンが外れたり、パンクしたり、停めちゃいけない場所も多いし、面倒だ。
だから僕は歩くか走る。
自転車なんか、なくっても、どこへでも行けるさ。
昔の人は凄く遠くまで走れたんだ。
帰りが遅くなるとお月様と追いかけっこ。
負けない、けど、勝てない。
行きたい気持ちがあれば、どこへでも行ける。
そして僕は今、月面を踏みしめる。
「次は、あそこ迄行ってみるか。」