救う
子供の頃の僕は大きい空の下で毎日宝物を探していた
夢に出てきた人は
いつか僕の目の前に本当に現れるものだと思ってたし
誰でも金色のバラを一つ持って生まれてくるものだと
密かに信じていた
願いは諦めなければ必ず叶うものだと思っていた
誰かを救えるようなヒーローになりたかった
僕にも何もかも信じられなくなっていた頃があった
みんな時が経ったから大人になっただけだと気が付いた
どこにも正解がないことが正解で
言葉にある業の深さを知った僕は
君になんて言えばいいのか分からなかった
ただ君を救いたかっただけだというのに
慰めの言葉なんて掛けられたくなかっただろう
容易く愛してるなどと言われたくはなかっただろう
生きることを強制されたくなんてなかっただろう
誰かの傷を紛らわせるための
踏み台になんてなりたくなかっただろう
それでも君は苦しいという
本当は救われたがっているのは僕なんだ
いつもいつも不安で仕方ないんだ
あの頃に戻りたいよ
君に会いたいよ
一輪花を挿した瓶の水を換えながら
日々が続いているのに時々情けなくなる
それだけ何もできない僕なのに
気付けば君の傷を癒したいと呟いている
僕も変わってしまうことが怖いよ
これだけ変わってしまったのにどこへ行くのか
僕の嫌いな僕になった僕が
平気で今の僕を足蹴にしていたとしたら
僕は生きていていいのか分からなくなるから
植物のように生きたかったけど
綿毛かシャボン玉のように生きたかったけど
泣きながら進んだら
いつか泣き止めるはずだよ
君は思っているよりも簡単に変わらないから
何に悩んでいたのか忘れて
僕のことを忘れたとしても
雨上がりに仰ぐ空の美しさはきっと覚えていられるはずだよ
最近こういう詩ばかり書いてしまっていますがブームだとでも思ってください。