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2. 友達に再会しました

 異能学園「ブループランタン学園」は国でも群を抜いて有名な名門校である。

 全ての異能者が集まるマンモス校のため、デカい校舎はもちろん、品揃え豊富な購買に、全生徒が泊まれる寮がある。


 今朝、ここに着いてうへぇ、と大きな校舎を見上げてから、スーツケースを寮の自室に置いた。

 入学式は午後からだ。一休みしようと備え付けのベッドに腰を下ろす。


 その間、部屋に置いてあった手紙を読むことにした。

 白い封筒に赤い校章が描かれたシーリングスタンプが押されている。

 いかにも、学園の重鎮からといった手紙を開封する。

 丁寧な字で書かれたそれは学園長直筆のものだった。

 手紙の内容は特殊異能者である私を気遣う内容だった。

 学園長含め教師陣は私の異能について知っていること。

 授業や部活にも特殊異能者のために配慮をしていること。

 だから心配しないで思いっきり学園を楽しんでほしいこと。


 私はそれを読んで少しほっと安堵すると、入学式までの間ゲームをすることにした。




「うそ、もうこんな時間だったの……」


 スマホの時間を確認して驚く。

 もうとっくに会場に入れる時間を過ぎていた。

 私は慌てて部屋を飛び出した。


 これだから全シナリオフルボイスのストーリー系のゲームは歯止めが効かなくなるからやめようと思ったのに……!


 私は余裕ぶっこいていた数時間前の自分に叱責しながら走る。

 まだ式が始まるまでには時間がある。

 息切れしながら会場に入ると、まだわやわやと和やかな雰囲気が広がっていて、心の底から安堵する。

 そうして席に着いたのも束の間、会場が暗転した――




「やっと終わったあ……」


 あくびをようやく噛み殺さずにできて満足しつつ、ぞろぞろと教室に向かう。

 向かう最中、密集して歩いているからか色々な人とぶつかって、その度声が聞こえてくるものだから困ってしまう。

 眠いだの、早く寮に戻りたいだの……

 よく分かる、と頷きつつ、廊下に張り出された名簿を確認すると、案外すぐに見つけることができた。


 1年B組3番。

 苗字がAから始まると、1番の可能性があるのが少し厄介なのだが、今回免れることができたのでよかった。

 綺麗で趣きのある教室に入り、名簿順に決められた席に座る。

 思わずキョロキョロと見回して、一人ぷるぷると震え出す。

 そして顔を机に突っ伏してから目をかっぴらいた。


 何このクラス、美形多くない!?

 いや、入学式から薄々感じていたけれど……

 この学園は美形しか入れないのか、というぐらいの勢いで美形だ。

 どうなってるの……


 そう一人で悶えていると。


「おーい」


 私の目の前で声がした。

 誰だろう、と思いつつ顔を正常に戻してから上げた。

 目の前には、オレンジ色の髪をハネハネさせたイケメン。

 私がぽかんとイケメンを見つめていると、そのイケメンが首を傾げた。


「あれ、俺だよ、覚えてない? 昔近所に住んでたんだけど」


 近所に住んでた? いや、こんなイケメンは私の知り合いに存在していないはず。


 するとイケメンは痺れを切らしたように私に顔を近づけて言った。


「エース・ソアリン! 覚えてるだろ?」


「エース……?」


 そう呟いて、もう一度顔を覗き込む。

 確かに、見覚えがあるような、ないような……


 そう考えてから、脳内でゴングが鳴り響いた。




 暗闇にスポットライトが照らされた。

 妖艶な脳内BGMが流れている。

 豪華な椅子に足を組んで座る私。


『さあ、始まりました。シオンの、シオンによるシオンのための時間です。この目の前にいるイケメン……エース・ソアリン。私の知っているエースというと、近所のガキンチョですが……見てください。この目の前にいるイケメンを』


 脳内で目をパチクリするエースが映し出される。

 私はガタっと椅子から勢い良く立ち上がる。


『もう私の知る空を飛んで馬鹿騒ぎするエースは感じられません! ……ですが問題が一つ。彼は私の異能を知っています。彼がどう出るか……』


 椅子に深く沈み込む。

 スポットライトが消えた。





「大丈夫か?」


 エースが覗き込んでいた。私はハッと我に返る。

 いけない、またやってしまっていたか……

 通称、ゴングタイム。

 正直、ゴングとは微塵も関係ないのだが、必ずゴングがなるのでそう呼んでいる。一人妄想は恐ろしいな……


「うん、大丈夫」


 そう返事をすると、エースが頬を膨らませた。


「お前さあ、引っ越しの挨拶ぐらいしてけよなー。こう見えて結構心配してたんだからな!」


 エースが私を心配していた?

 空を飛んで大はしゃぎしていたあのエースが?

 私はそう思いながらエースを眺める。

 するとエースはため息をついてじとっと私を見る。


「なんか失礼なこと考えてるだろ……友達が急にいなくなるのは嫌なんだからな!」


「まあ、お前も色々大変だったことぐらい知ってるけど……」とエースは顔を背けて呟く。

 私はなんだかびっくりと嬉しさが混ざって変な顔をしてしまう。

 エースが一瞬、目をパチクリした。

 そんなに変な顔だったのかな……と顔を頑張って戻すのと同時に教室の前の扉が開いて先生が入ってきた。


「まあ、友達がいて安心したわ。これから一緒に頑張ろうな、シオン」


 エースはへへっと笑うと急ぎ足で自分の席へと向かう。


 1年B組22番エース・ソアリン。

 空を飛ぶ異能を持つイケメン。


 なんだか、エースとの再会は私の楽しい学園生活の第一歩になるような気がした。



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