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犬王の剣

 本来は明智が帝位を簒奪するために必要だったはずの私だったけど、明智謀反の真実を知ってしまった事で、命を狙われる事になってしまった。


 私を目指して飛んでくる矢。

 その前に立ちふさがった緋村。

 それは一瞬の事だった。

 緋村が振り払った刀が私に向かって来ていた無数の矢、全てを薙ぎ払った。


「緋村!」

「姫様、私をのけ者にして佐助と勝手な事をされては困りますなぁ」

「周りは敵兵だらけらしいけど、よくここまで来れたわね」

「取り囲まれる前から来てましたよ」

「じゃあ、陛下を守らなかったの?」

「陛下は残念な事だが、明地謀反と知るや否や是非も無しと申されて、私に姫様を守るよう命じられた。しかし、姫様がどこにいるのか知りませんでしたから、佐助を見張っていれば見つけられるだろうと、ちょっと潜んでいたんですよ」

「そうだったんだぁ。でも、ありがとう。

 緋村が来てくれたら、少しは安心」

「少しなんですか?

 それは残念な。

 いいですか、見ていてくださいよ」


 そう言い終えるなり、刀や槍を構えたまま私たちに襲い掛かるチャンスを待っていた数m離れたところに立っている敵兵たちに向けて、緋村が手にしている刀を水平に薙ぎ払った。


 刀の刃の届く距離ではない。

 だけど、私には何かが敵兵たちに向かって行くのがはっきりと見えた。

 蜃気楼?

 空気のゆがみ?

 三日月状に見える何かが敵兵たちにたどり着いた時、何人もの敵兵たちは腹から血しぶきを上げて倒れた。

一斬ひときり献身だぁ」

「本当に一度に何人も斬る事ができるんだぁ」


 敵兵たちに動揺が走り、崩れ始めた。


「あれって何?

 かまいたちみたいなもの?

て言うか、ひときりって人斬ひときりではなく、一斬ひときり」


 そんな独り言を言っている私の横に佐助がやって来た。


「姫様。いくら将軍でも、これだけの兵を突破する事はできません。

 あれを使ってください」

「分かった」


 私はそう言うと、拳王の剣を鞘からささっと抜き、その切っ先を天に向けた。


「将軍、姫様の前に!」

「分かった」


 私の周囲には緋村と佐助。


「いでよ、拳王!」


 私がそう唱えた瞬間、辺りは闇に包まれた。


 さっきまで私たちを取り囲んでいた兵たちの気配も消え、唯一感じるのは緋村と佐助の気配だけ。

 そんな闇の中、遥か天空に白い光が浮かび上がったかと思うと、それは一気に私たちに近づいてきた。

 やがて一つのまばゆい光の点と思っていたものの姿が徐々にはっきりと視認できるようになってきた。


 それは大きな犬とそれにまたがる一人の女性だった。

タイトルは本当の剣の名前、犬王の方を使わて頂きました。主人公はまだ拳王だと思っていますけど。

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