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四公が攻めてくる話はフェイクニュース?

「うーん、この世界のお約束に従ったつもりだったんだけど、外したかなあ?

 ラフテルって、ここには無いのかなあ?」


 小首を傾げる大輔にたずねてみた。


「いいえ。裸婦照らふてるってありますよ。

 ただ、伝説の地であって、どこにあるか誰も知らないんですよ」

「あっ! そんな話だったんだったっけ。

 行った事があるのは甲斐族王、つまり、かつて申世界を併合した里見、えーと名前なんだったっけ?」

「りなさん、里見義実様です。

 やっぱり、変じゃないですか?

 本当に浜路姫様なんですか?」

「佐助、当たり前じゃない。

 胸ないでしょ」

「自分で言いましたね。

 胸無いって」

「その内、大きくなるわよ。

 でも、言っておくけど、高校に入ったら胸が大きくなるなんて噂は信じてなかっし、元の世界では普通にあったんだからね」

「すみません。言っているお話は全く見えないんですが、りなさんって、本当は浜路姫様って事なんですか?」


 私たちの会話を聞いていた大輔が割って入ってきた。

 浜路姫と言う名は知っているらしい。


「本当はそうなんだけど、それは秘密にしておいてね。

 それより、本題の続きよ。

 里見義実だけが、ラフテルに行った事があるって事だったっけ?」

「そうです」

「ところで、ラフテルってどんな字?」

「やっぱり、変ですよ。

 裸婦照って、裸の婦人を照らすって字ですよ」

「裸の婦人?

 って事は、そこに隠されている秘宝ワン○ースって、かわいいワンピの事?」

「なんだか、言っている事がよく分かりませんが、そこには王毘笥わんびいすと呼ばれるものが隠されているそうですが、それが何なんだか知る人はいません」

「なるほどねぇ。

 このあたりの話も、この世界のお約束どおりなんだぁ。

 場所は分からなくても、きっとこの申世界の最果てにあるんだろうから、どんどん進んで行くしかなさそうね。

 じゃあ、行きますか」

 そう言って、歩き始めた。


 四公が治める申世界。青々とした水田や畑と言うものは見て取れない。今私たちが進んでいる道が、ほとんど通行が許されない関所に通じる一本道と言う事もあるのかも知れないけど、私たち以外に人の姿も見ない。


「人がいないわね。

 それに、戦のために兵が集結していると言う話もあったけど、そんな気配もこの辺りには無いわね」

「戦ですか?

 そんな話は聞いていませんよ」


 大輔が言い切った。


「そうなの?

 四公が攻めてくるって、あっちの世界では大変だったんだけど。

 でも、そう言えば、利馬主真雲天の頂上に設けられている監視台から、四公が攻めてくると言う合図があったって事だけど、実際には攻めては来なかったんだよね?」


 私は背後を振り返り、小さすぎてどこにあるのか分からない監視台が設けられていると言う猿飼の地と接する利馬主真雲天のてっぺんあたりに目を向けた。


「我々が甲斐族の人々に勝てる訳無いじゃないですか。

 兵を集めたりもしていませんよ」

「うーん、もしその話が本当だったとしたら、あっちの世界の話のどこまでが本当で、どこまでがフェイクだったんだか」

「りなさん、ふぇいくってあれですね。とらんぷの」

「そうよ。真実を誤魔化すための嘘だったり、本当の事を信じさせないためにフェイクだっていったりするのよ。トラン○大統領の得意技よ」

「本当の事を信じさせないためですか」


 大輔が私の言葉を繰り返していた。

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