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敵は本能寺にあり!

「はぁぁぁぁ」


 私の口からはため息しかでない。

 その理由は私の結婚相手 猿飼が私的にはあり得ない人物であると言う事。ごめん、容姿がであって、性格とかは話したことも無いので分からないんだけど。

 そして、そんな時でも気分転換してくれそうなのが、家族との美味しい食事のはずなんだけど、ろうそくが灯された薄暗い部屋で、一人の食事。しかも、粗食。


「佐助!」


 私の呼びかけに、天井裏からすぐさま飛び降りて来た。


「お呼びでしょうか?」

「まず教えて欲しいんだけど、どうして私はここで一人飯なわけ?」

「陛下と一緒にご飯なんてあり得ないんだからぁとか言って、拒否されたのは姫様ですよね?」

「はい?

 そうなの?」


 この封建時代っぽい中で、結婚相手は拒否れないのに、父親との食事は拒否できるって訳?


「陛下も姫様に嫌われたくないんですよ。きっと」


って、私の時代の父親かっ!


「じゃあさ、このメニュー、じゃなかったこの献立はなに?」

「見て分からないんですか?

 ごはんとお味噌汁と川魚に煮込んだ野菜ですけど」

「いや、そうじゃなくて、もうちょっと豪華なものがあっていいんじゃないの?

 デザートにケーキとかは言わないけどさ」

「でざぁあと??」

「それはいいから。

 肉とかないの?

 神戸ビーフとか松阪牛とかまでは言わないからさ」

「肉って、人の食べ物じゃないですよね?」

「そっかぁ。そう言う世界かぁ。

 育ち盛りの私にはもっとたんぱく質が必要なのに!」

「たんぱくしつ?」

「あ、気にしないでいいから」


 なんて言っている所で緋村が障子を開けた。


「なに?」

「姫様、明地様が来られました」

「では、私は」


 緋村の言葉に佐助が素早く反応し、飛び上がって天井裏に姿を隠した。

 誰もいなくなった部屋にやって来た明智。


「姫様、お久しぶりです」

「そうですね」


 私には記憶がないけど、とりあえず話を合わせて、にこりと微笑み返す。


「姫様、約束叶える事ができなくて、申し訳ありません」

「どのお話でしたでしょうか?」

「姫様をお迎えにまいる幼き頃の約束ですよ」


 そう言う関係だった訳?

 いや、今からでも遅くないでしょ!

 結婚式の途中に乗り込んできて、私をさらって!

 洋画の中の1シーンみたいに。


「姫様!」


 にじり寄って来たイケメン従兄の顔が目の前に。

 これは、このまま目を閉じる?

 明智の顔がさらに近づいてくる。心臓の鼓動が高鳴ってしまう。

 目を閉じようかどうしようかと戸惑っている内に、明智の口元は逸れて私の耳元に。

 かぷって、噛まれる?

 なんて、どぎまぎしている私の耳元で明智が囁いた。


「でも、ご安心ください。

 四公に不穏な動きがあり、猿飼様は国元に戻られますので、婚儀は延期と相成りましょう。私も猿飼様の援軍として出立いたします」


 明智はそれだけを告げると私から離れ、にこりと微笑んだ。


「では姫様。

 いずれまた」


 私にうれしい情報と輝く笑みを残して、明智は去って行った。


「姫様。明地様は何を」


 明智が部屋を去るとほぼ同時に少しずらした天井の板の隙間から顔を覗かせてたずねてきた。


「婚儀が延びるだろうって!」

「他には?」

「猿飼の援軍として、自分も出て行くって。

 サルの援軍に明智って、あれだよね。

 敵は本能寺ほんのうじにあり!ってね」

「驚きました。

 姫様がそのような情報をお持ちだったとは」

「何の事?

 本王寺ほんおうじの事ですよ。

 うまく言いましたね。敵は本王寺にありですか。

 では、本王寺に一緒に行ってみますか」

「はい?」


 よく分からない話の流れで、私は佐助と本能寺と言うお寺に行く事になったのでした。

補足です。

従兄の名前は本当は明地なんですが、主人公は過去の知識から明智と思っています。

それだけに、佐助が本王寺ほんおうじと言っているのですが、本能寺ほんのうじと勝手に聞き取っています。誤字、誤変換ではありませんので、よろしくお願いします。

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