表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/156

酷い人相書きの顔をした偽の姫

 私を騙る偽の姫。

 勧善懲悪時代劇に時々出てくるパターンだ。


「本当にそんな人っているんだねぇ。

 でも、浜路姫って明地からしたら邪魔者なんだから、命知らずな事するわよね」

「どうします?」

「一度、どんな人か調べて来てくれる?」

「いいですけど、天井裏は使ったらだめなんですよね?」

「いや、私を覗くんじゃないから、使っていいから」

「自分だけ例外で特別って事ですか?」

「あんた、嫌な言い方するわね」

「ともかく、行ってきます」


 そう言い残して、姿を消した佐助はしばらくすると、一枚に紙を手に戻って来た。


「これなんだか分かります?」


 そう言って佐助が差し出したのは所謂人相書きで、そこに描かれている顔には見覚えがあった。

 私を手配するために描かれた、私とは似ても似つかない方の人相書きだ。


「覚えていますよ。

 明地が本当は捕まえる気はないけど、一応私を捕まえるためと言う事で、辻々に貼りださせていた私に似ていない方の人相書きでしょ。

 それがどうしたって言うの?」

「この人相書きにそっくりなんです」

「何が?」


 正直、それは二次元の顔であって、人の顔ではない。そんな人間がリアルにいる訳なんてない。


「だから、偽の浜路姫がです」

「嘘でしょ」

「本当ですよ」

「だったらよ。

 その絵は私ではない架空の絵じゃなくて、その子を描いたものって事?」

「さあ? それは分かりませんね。

 会ってみますか?」

「会えるの?」

「はい。隠れ忍んでいるって事になっているらしいですが、他言しない事を条件に、お金を積めば会えるみたいですよ。

 その時は握手だってしてくれるらしいです。

 姫様と握手できるとあって、お金のある殿方たちがやって来ているらしいです」

「そんな人とは、お金を出してまで会わない。

 勧善懲悪の時代劇なら、本物のくせに偽物にしれっと近づいて、改心させて無罪放免ってのが定石だけど、それって変だと思うんだよね。

 偽物になって、私利私欲を満たしているんだから、盗賊と同じじゃん。

 罰さないといけないに決まってるじゃない。

 佐助、この辺りを取り締まっている役人に訴えて来てよ。

 偽物の姫がいるって書いた文を、風車につけて送り届けるのよ!」

「はい?

 いつもの事ながら、りなさんのおっしゃる意味はよく分かりませんが、ともかく役人たちの手に渡した方がいいと私も思いますので、訴えてきます」


 そう言い残して姿を消した佐助はほどなくして戻って来た。


「万事順調です。

 もうじき、捕まえに来るはずですよ」

「では、ちょっと見てきますか」


 そう言って、私と佐助は偽の姫が潜んでいると言う旅籠向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ