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松さんの正体

 強硬突破した関所から素早く立ち去った私たちは街道を逸れた林の中を進んで行く。


「佐助、道は確かなんだよね?」

「私にお任せください。

 松さんでも歩いていける場所を選んで行きます」

「そう言えば、松さん、少し話してもらえませんかねぇ?」

「な、な、何をですか?

 緋村さん」

「どうして、あなたが追われているのか?

 あなたは何者なのか、ですよ」

「そうですね。

 知らないまま、あなたを守るより、知っておいた方が色々と策を練りやすいですね」

「うーん、緋村や犬塚さんの言うとおりだと思うんだよね。

 松さんの敵と味方を見分けるためにも。

 まあ、嫌じゃあなければなんだけどね」

「分かりました。

 お話します。

 私は猿飼忠宗の妹 松です」

「猿飼忠宗って、誰?」

「やはり頭打ってどうかしましたよね?

 忠宗様はあのお方じゃないですか」

「もしかして、浜路姫と結婚するはずだった人?」

「もちろん」

「えっ?」

 嘘でしょ」

「どうして、そう思うんですか?

 私が兄上様と似ていないからですか?

 りなさんは兄上を見た事あるのですか?」

「えぇぇっと、一度ちらり」


 口には出せないけど、遺伝子レベルでぜぇぇぇったいつながっていないとしか思えない二人の容姿。この時代DNA鑑定はおろか、血液型照会すらないのだから、女の人がだまっていたら誰の子かなんて分かるはずもない。女の人、当の本人も分からない場合もあるかも知れないけど。


「まあ、その話は置いておいて。

 どうして、猿飼の姫様が明地の領地にいて、誰に追われているのですか?」

「四公との戦いを前に、明地様に呼び出され、明地様のお城にいることになったんです」

「人質って事?」

「りなさん、それはあり得ない気がするんですけどねぇ。

 何しろ、猿飼様が浜路姫様と結ばれれば、次期皇帝陛下ですよ。

 その妹を人質にって、あり得ないですよ」

「うーん、でもそれを明地がやったって事なんじゃないのかなぁ?」

「つまり、それって最初から兄上様と浜路姫様の婚儀を行わせないつもりだったと言う事でしょうか?」

「そこまでは分かりませんけど」

「明地様の城で、実は私見てしまったんです。

 四公の旗印をたくさん揃えているのを。

 何か変な気がして、何かを企んでいる? なんて事も感じていたんです」

「城の中にあったんですか?

 あの見ざる、言わざる、聞かざるの旗」

「はい。四公との決戦で四公側に間者を紛れ込ませるためだと言ってましたけど。

 今になって見れば、何だか話がつながる気がして。

 四公の旗を掲げて、陛下と姫様を討つ」

「とすると、明地の城の中に四公の旗があると言う事を見てしまった姫様は邪魔者なんじゃ」

「じゃあ、緋村、松さんって私たちと同じじゃない」

「りなさん、何を見たんですか?」

「あ、ごめんなさい。それはちょっと置いておいてください。

 と言う事からして、松さんを追っているのは明地の手の者と言う事でいいでしょうか?」

「おそらく。

 ですが、明地様は皇帝陛下になられましたので、もはや追手はこの国の者全てなのかもしれません」

「ともかく、松さんを守ります」

「りなさん、その前にもう一つはっきりさせないといけない事があります。

 それはりなさんの剣の腕の実力です!」


 緋村が私を真剣なまなざしで見つめていた。

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