表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/156

出陣

 俺達が決めた葉芝との連携の拒絶を伝えてから数日が経った時だった。この国を取り巻く状況が大きく動いた。

 多岐川と連携を進めるかに見えた北條が突如牙を剥き、多岐川は敗走した。

 植杉も停戦を結んだ芝田がいなくなった以上、停戦は無効だと侵攻を開始して来た。

 毛里も停戦を結びはしたものの、その相手の葉芝がこの国を代表しない以上、停戦を守る義務はないと言って、侵攻を開始して来た。

 南方に位置した外国勢が一斉に侵攻してくると言う非常事態が発生したのだ。


 葉芝はその報告と援軍の要請に私の所にやって来た。


「姫様。かような状況に、我が軍のみでは対応する事はできず、姫様のお力をお貸しいただきとうございます」

「それはごもっともにて、私も協力させていただきましょう」

「では。

 丹葉長秀殿にご命令いただき、丹葉の軍勢を北條にあてていただき、

 明地の軍勢を玉姫に命じていただき、植杉にあてていただけませんでしょうか?

 それぞれに我が精鋭の一部を援軍に出しますゆえ、緋村将軍に猿飼の軍勢を預け我が援軍をお願いできれば幸いです。

 また、毛里は強大ゆえ、勝利を確実にするためにも八犬士を率いた姫様の援軍も賜りとうございます」

「承知しました。

 葉芝殿。われら準備出来次第出立いたしましょう」

「では、私は先に」


 そう言って、葉芝は退出していった。


「さて、佐助」


 葉芝がいなくなると、姫は佐助を呼んだ。


「佐助の言ったとおりの事を葉芝を要請して来た訳だけど、この先はどうする気なの?」

「まず、私が伊香の里から受けております命令は、今回の葉芝の提案を姫が受けるような流れを作る事。

 その先も葉芝からの提案を受け入れる流れを作る事と命じられており、これから先の事は少しずつ変わっていく可能性があります。

 ただ、基本的には展開した姫様たちの軍に対し、前面に毛里勢を当て、側面より葉芝勢が襲い掛かると言った展開を想定しています」

「なるほどね。

 ところで、佐助かあかねちゃんかどちらか知っていたら教えて欲しいんだけど。

 丹葉は葉芝や伊香の里とつるんでるの?」

「伊香の里と丹葉はつながっておりません。

 葉芝は自分より里見家で由緒ある者の存在を認める気はありません」


 佐助が答えた。


「ありがとう、佐助。

 では、佐助と犬江さん。早速、丹葉の所に向かって、北條との開戦は北條よりの攻撃が無い限りこちらからは仕掛けるなと指示してきたください」

「承知しました」


 忠犬は姫の言葉にすくっと立ち上がった。

 佐助に目配せして、そのまま部屋を出て行った。


「さて、あかねちゃん。封魔の里の力で北條を抑えられない?」

「北條を唆しているのは伊香の里と葉芝と思われます。

 伊香の里の力を削ぐ必要ありかと」

「そうね。これ以上、伊香の里の勝手を見過ごしてはおけないかもね。

 あかねちゃん。封魔の里の力で、伊香の里の力を削げるの?

 何か協力が必要?」

「姫様。ご配慮ありがとうございます。

 忍びの事は忍びで決着を付けたいと考えます。

 姫様からは伊香の里討伐の許可さえいただければ、それで十分です」

「分かりました。

 それは許可します」

「ありがとうございます。

 その返礼と言う訳ではありませんが、実は我ら封魔には隠し玉がございます。

 姫様が仰られたとおり、明地剣史郎殿が小栗栖を敗走してきました。

 その明地殿を我が里に保護しております。

 植杉勢と言えど、明地剣史郎殿が率いた明地軍であれば、そうたやすく負けますまい」

「あかねちゃん。明地剣史郎の事頼みます」

 

 あかねちゃんも任務に赴いた。

 そして、俺達は葉芝への援軍のため、松姫と共に猿飼の軍勢を率い里見の館を出立した。


 目指すは毛里と葉芝の軍勢が対峙しつつある鄙厨高松びっちゅうたかまつである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ