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佐助は女?

「犬坂さん。

 あれを」

「承知しました」


 そう言い終えると犬坂は佐助の目を見た。


「これで、この者は姫の忠実なしもべです」

「ありがとう」


 姫はそう言うと、佐助を見た。


「佐助。あなたの性別は?」


 それが最初の質問?

 意味不明で俺もあかねも驚きを隠せない。


「私は女です」


 佐助の答えは姫の質問以上に驚きだ。と言うか、答えがこれだとすると、姫の質問の意味も分かる。


「ありがとう。完全に私の指示に従うようね」

「ちょ、ちょ、ちょっといいですか?

 姫様。どうして、気づかれたんですか?」


 佐助との付き合いの長さでいけば、今の姫は俺より短いと言うのに、どうしてそんな事に気づいたのか。確かめずにいられなかった。


「もしやと思ってはいたんだけどね。

 申世界で佐助が救出された時も、あの水が手に入れにくい申世界で、犬塚さんに頼らず、佐助の体は自分たちできれいにするって言うし、戻って来た時の小奇麗になった佐助のほっぺを触って、ほぼ間違いないと思った訳。

 だから、緋村。梓と佐助に男女関係は存在しないから、安心しなさい。

 まあ、その話は置いておいて、さっきの大猿の話は正しいよね?」

「はい。姫様のお言葉通りです」

「ちょっと。待ってください。

 だったら、どうして佐助が大猿勇多に監禁されたんですか?」


 再び俺が口を挟んだ。


「佐助。あれって、勇多の裏切り?」

「はい。大猿勇多は姫様の八犬士と犬王の力を手に入れれば、自分の天下になると欲を抱いたようです」

「裏切者だから、勇多を殺したの?」

「その理由は聞いても答えてくれないので、想像の域をでませんが、おそらくそう言うことではないでしょうか?」

「ちょっと待ってください。姫様。

 あれは佐助たちの想定外の事件だったって事ですか?」


 これにも俺は口を出さずにいられなかった。

 あれを梓がやったのであろうと言う事は覚悟している。が、それを梓が自らの意思でやったと言う事になると理由を知りたくなる。


「話がそれてしまったので、それは後で梓に聞くとして。

 江華の里は滅ぼす必要あったの?」

「明地お抱えの忍びですし、勢力も大きかったため、長老はそう判断しました」

「なるほどね。

 で、この後はどうするの?」

「姫様の葉芝様への回答がまだですので、決まってはおりません。

 選択肢の一つは我々が最も望む姫様を祭り上げ、葉芝様を関白に据えると言うもの。

 なにしろ、八犬士の力も犬王の力も手に入れられるのですから。

 もう一つはどうしても葉芝様と組まれない場合、戦いを選ぶことになろうかと」

「あなたたち伊香の里は最初から私の力を期待していたの?」

「いいえ。

 本当に姫様が犬王の力を使えるとは思ってはおりませんでした。

 姫様が生き残られますと、葉芝様が帝位に就く邪魔になりますので、本王寺で死んでもらうつもりでした。ですが、犬王の力をお使いになられましたので、それを利用する事にしたのです」

「やっぱり、私を殺す気だったのか。

 佐助。しばらくは今まで通り、伊香の里に忠誠を誓って働いているふりをしなさい。

 そして、重要な話があれば、私の所に持ってきなさい」

「承知しました」

「あと一つ。

 あんた胸にこだわってばかりだったけど、こっちの部屋であんた胸を見せてみなさい」

「承知しました」


 思わず俺の頭の中は混乱するばかりだ。

 ずっと男だと思っていた佐助が実は女で、隣の部屋でその胸を姫に見せている。


「なに、これ?

 着ているもの全て緩めるとこんなに胸おっきいの?」

「はい。

 これで男装するのはとても苦しくて。

 胸の無い姫様が羨ましくてしかたありませんでした」


「私もちょっと見てきます」


 そう言って、あかねも隣の部屋に入って行った。


「佐助って何歳?」


 あかねの声だ。


「本当の年はいくつなの?」


 姫の声だ。


「本当は15歳です」

「私達より年下で、この胸ですか!

 前世の私よりでかっ」


 どんな胸なんだ?

 一度触ってみたいじゃないか!

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