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消えた記憶、朧げな記憶

ねえ

5ヶ月間の記憶が抜け落ちているという事を理解ができない。が、事実として俺からしてみれば昨日は5ヶ月前の3月22日だが他の人間、いや地球上の万物からすれば昨日は8月22日で3月22日は5ヶ月前なのだ。正直自分が異常なのではなく最初は妹が異常なのだと思った。


が、そんな考察は一瞬にして周りの全てに否定された。電波時計、スマホは今日が8月23日だと示し、外からはセミの鳴き声が聴こえカーテンを開ければ嫌みたらしい程に輝く太陽。これらの状況でまだ俺がおかしくなく妹がおかしいと言える人間はよっぽどかのバカか天才か、或いは現実逃避をしたい凡人に違いない。俺はリアリストだ。いつだって過去や未来ではなく今を生きている。


だからこそ凡人であり今を生きている人間の俺だからこそ理解のしようがない。


一応色々考えた。精神病説。これが一番濃厚だ。俺の気がおかしくなり今見ている風景をうまく処理しようとしていない。或いはしたくないといったところ。次に単純な記憶消失説。が、これは薄いだろう。記憶が消えるにしたって5ヶ月もの間の記憶が上手く綺麗に消える。それも妹が言うには5ヶ月間俺は普通に生活していたそうだ。一番ありえないと思う。夢説。これは説明のしようがない可能性としてあると思う。


時間スキップ説。凄く突拍子のない事だが現に今突拍子のない事が起きているのだから突拍子のない考察をしないとついていけない。5ヶ月間の時間が俺だけスキップした。或いは5ヶ月間俺は普通に生活したが5ヶ月もの時間が消えたとか。平行時間(世界)の自分に憑依ってのもありそうだが。。頭が痛くなる。


こういった非日常はライトノベルやアニメだけで十分だ。人間は日常をつまらないと感じつつも幸福に感じているのだ。非日常が実際日常と化したら。これほどきつい事はない。とりあえずちゃんと考察するためにも昨日、3月22日を思い出すことにしよう。




3月22日

朝には強い。目覚ましなんてかけなくとも勝手に起きれる自信だけはあった。その慢心こそ今日の遅刻につながったのだが。起床。うん6時ぴったし。ビタミン剤を飲み顔を洗い髭を剃りコンタクトを入れ歯磨きをする。そして寝ぼけた顔でコーヒーをすすりながらSNSやネットニュースなどをチェックする。これが朝の日課だ。その後はたまにスマホゲームのログインボーナスを貰いにログイン。スマホゲームは今や高校生の間では必要不可欠なものだ。何しろ昼休憩になると必ず話題に上がるからな。ゲームには詳しく無いがあのログインボーナスという概念を作った人は天才だ。ついついログインしてしまう。きっと相当な粘着質な性格に違いない。


ふとスマホの時計を見る。9時12分となっている。


「?」二度見した。起きたのは十数分前だ。自慢ではないが朝の支度の速さだけは日本、いや世界一の速さの自負がある。大袈裟かもしれないがこれはマジだ。だが実際09:12と表記されている。。。


遅刻だ。


急いで冬服の制服に袖を通して駆け足で学校へ向かった。家から高校までの距離はそう離れてはいない。徒歩10分といったところだろうか。俺が在学している高校。岬野高校。この岬高校を選んだのも家から近いというのと偏差値が普通という理由だ。


何しろ自分はマイペースだ。その自覚はある。これくらい近くないときっと高校なんて通えるはずがない。小中でそれは痛いほど思い知らされた。現に俺は歩いている。それも凄いロースピードで。普通だったら少しでも速く高校に行こうとするのだろうが、遅刻が確定したのにも関わらず急ぐのは合理的ではないし何より歩きたい気分なのだ。


何故って?雪が降っているからだ。もうすぐ桜が咲きコタツをしまう季節になったのにも関わらず雪が降っているのだ。そのちょっとした非日常を堪能しようと歩いていたのだ。


余りにも綺麗だったのでつい近くのコンビニに入り暖かいコーヒーと漫画雑誌を買い高校の目の前にある岬第二公園のブランコに座った。


遅刻の事などすっかり忘れゆったりとした一人の時間を過ごした。自分の時間に入りかけたのにも関わらずポケットに入った空気の読まない現実から着信音が鳴り出す。担任だ。


「おいお前。今何時だ?」


「えーと9時ですかね?」


「今どこにいる?」


「第二公です」


「3分以内に職員室にこないと留年させるわ」


「先生!そりゃ横暴でしょう!理由ぐらい聞いてくださいよ!」


「聞かなくても分かる」


「ちょっ」ピーと電話が切れた時のあの不快な音が脳内に鳴り響く。イラっとしたが留年は不味い。

そんな権限ないのは知っているが多分あの先生のことだ。端折ったのだ。昼休みからある教科の内一回でも休んでしまったら留年が確定してしまう教科があるのだろう。休みすぎた自分に全原因があるのだが。


俺は走って学校へ行く。近くの岬第二公園にいたおかげか息が上がってきた頃には学校の下駄箱にいた。

チャイムが鳴る。丁度授業が終わり10分休憩が始まったようだ。走って来るまでもなかった。あの担任は3分といったが大分余裕があったようだ。今担任と鉢合わせると自分の感情のまま文句を言い、返り討ちにあうだけだ。ここは冷静にチャイムが鳴るまで自分の席で小説でも読もう。授業が始まったら担当の先生に言い職員室に行く。そうしたら説教を食らっている間俺は授業をサボれる。更に一応出席も取れる。一石二鳥だな。手早く靴と上履きを交換し廊下に上履きを投げ、履く。


俺の教室は2-1。二階の一番端にある教室だ。走ってきたせいかゆっくり階段を上がっているだけなのに息が上がる。いや、ただの体力不足か。二階につき一番端にある自分の教室に入り何事もなかったかのように自然と自分の席に着く。本当だったらスマホやコンビニで買った漫画雑誌を見るところなのだが流石にそこまでの度胸はない。漫画雑誌は論外としてスマホは昼休憩と放課後以外での使用を禁止されている。おかしな話だ。持ってきていいのに緊急時以外では制限されてる。まぁまだ持ち込みOKなだけありがたい方だ。


五年前、この岬野高校のある廻裏市で大地震があった。当然、岬野高校も被害に合い、死者5名、重傷者22名とかなりの被害を受けた。


当事者である生徒や教師そして保護者から学校への携帯の持ち込みを許可すべきと譁 ュ怜?,>Ppに抗議があり;。、Sfrew?はがこれを許可した。


アレ?ピンポイントにどこに抗議があったのかを思い出せない。まあとにかくそいうコトがあったんだ。因みに俺はこの大地震に会ってない。確かにこの廻裏市に住んでいたのだがその日は丁度、学校を休んで家族で旅行に行ってたのだ。旅行先で何の気なしにスマホを開いたらラインの通知がいっぱいあってこの事実を知った。帰ってみたら街は街の原型を留めておらず家もボロボロで正に地獄絵図。当時俺は12歳とまだ子供だったが、とりあえず不幸なコトが起こったという事だけは考えずとも理解できた。




ない

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