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朝の攻防

そんなものはない。でもうーん文章ってず難しい。

俺の名前は神咲冬離。普通の高校生だ。普通っていうのは自称であり、周りからはかなり変わっていると言われる。が、変わっているといっても一般人レベルの話だ。特殊な能力を持っているわけでもなく変な趣味を持っているわけでも無い。少し難しい性格で感受性がちっとばかし強い程度のものだ。少し変ってるくらいが標準なのだ。自分で「俺変ってるからなーっ」ていうやつは無個性である事に劣等感を抱いてるやつだと俺は勝手に思ってる。おっと少し話が逸れたな。


これから話す物語はその普通の高校生である俺が普通ではない経験した話だ。だからこそ少しフィクションを嗜む人からすればどこかで読んだ事のあるような話だと思う。だけれども君達はきっと最後に驚だろう。その単調すぎるエンディングに。




目覚ましが俺を起そうと張り切っている。

というよりも正確には張り切っているようにしか思えないほどうるさい。


だが、何というのか、普通だったら目覚ましに勘弁して暖かい布団から出るところなのだが、

今日の俺は目覚ましに対しての怒りが変な感情に変換され「意地でも眠る」「死んでも眠る」「起こしてみやがれ」「負けない」というふうな変なプライドに目覚めた。


目覚ましをかけているのだから当然予定がある。高校だ。高校に行かなくてはならない。

だがもう遅い。俺は覚悟を決めた。このしょうもない機械と人間の攻防ごときで出席日数が足りず留年すると神に言われたとしても、行かない。うん、絶対。決めた。


こう強がっているものの正直ヤバい。今更自分で起きないと決めたのにそれを曲げるのは俺のポリシーに反する。誰も見ていないしそんな薄っぺらい決意誰も興味がないのはわかっているが、なんかやっぱ無理。我ながらめんどくさい性格をしているなと再認識させられた。できれば誰かに起こして欲しいというのが本音だ。起こしてくれる存在がいるから期待しているのだが。

最もその起こしてくれるセルフ目覚まし時計殿も適当な為。期待は出来ない。


「今日は3月23日。。。学校はまだある。。」唸るように呟いた。ん?3月23日?

そう、俺の記憶が正しいのであれば3月23日という事は今日から春休みだ。そうか。春休みか。なら良いじゃないか!これで気兼ねなく寝れる。寝ながら横に置いてある目覚まし時計の電池を抜き、布団をかぶり夢の世界にログイン。


できる思った。

 

瞬間。かぶった布団は剥がされ大きな声で「起きろおおお!」と怒鳴られる。


「何だ。こんなキツい夢は。気持ちよく寝たいのに。」と呟いた。

「夢じゃない。現実よ!起きろ!バカ兄!」


あーなんて事だ。もし運命というのがあるのだとしたならば恨むぞ。休みに入った今日に限って気まぐれなセルフ目覚まし時計事俺の愛しの妹は張り切ってしまったのだ。何でだよ。。。目を閉じたまま冷静に説得をする。


「妹よ。いや、奈豆紗よ。俺は目覚ましという魔王と決闘をしていたんだ。今起きるってことは魔王に敗北した事と同義なわけよ。魔王に負けた世界は?支配され滅ぼされるよな?言いたい事わかるよな?」自分でも何を言っているのか少し分からなくなったがとりあえず無駄を承知で妹を説得し始める。


「目覚ましに支配される!?そんな世界滅びてろ!!」「ていうか!それ起きたくないだけだよね!?」

と正論で人蹴り。機械ならともかく妹なら別だ。無視したら後で何をされるかわからない。妹は俺に負けず劣らず難しい性格。いや、めんどくさい奴だ。俺は変なプライドに目覚めてしまう。わざわざ一階にトイレがあるのに最上階まで階段で上ってトイレをするような性格と不便でめんどくさい性格と自覚しているが。


妹も同じようなものだ。というより妹の場合妹本人からすれば寧ろ凄い能力だ。

この妹記憶力が良く口が立つ。ここだけの話俺はこいつの前世大詐欺師だと思っている。

何か言い争うとすぐ「でもお兄昔はOOだったじゃん」とか言い出すのだ。始末が悪いのは自分を大きく言い相手をクズのように話す。それを分かっていても許されようとしてしまう俺も俺なのだが。


許されるにはご褒美をやらにゃダメなのだ。このまま無視すれば今日の事をダシに使われきっと俺は財布のお金は全て妹のショッピング(笑)に捧げられるだろう。それはダメだ。特に今月は好きな漫画が連載を再開したり欲しいゲームが発売されたりと出費がヤバい。親から1ヶ月に支給されるお金は5000円。食事代は含まないが。自由にバイトが出来ない高校生にとって5000円は社会人の10万円に匹敵する。。と勝手に俺は思っている。


ここは諦め大人しく起きる事にした。


目を開いた瞬間。夏服を着た妹がいた。しかも、学校の。意味不明だった。が、直ぐ理解が追いついた。成る程。ボケか。こいつ俺を笑わせたいんだな?ここは兄ちゃんが突っ込んでやるか。。


「阿呆!奈豆紗!お前冬なのに夏服着て!いや季節間違えとるやないかーい!」


空気が凍った。俺が悪いのだろうか?わざわざ妹のナンセンスな大ボケをフォロー(ツッコミを)した俺が。誠に遺憾だね。


「お兄?何言ってんの?」不思議そうだ。


「よく分からないけどお兄。今日登校日じゃん。早く行こうよ。」


「?」


「春休みに登校日なんて無い筈だが?」 「夏休みなんですけど」


「へ?」


「おかしい。奈豆紗さん。今日は何月何日なんですかね?」恐る恐る聞く。


「え?8月の23だけど」


「え?」


「は?」


記憶の齟齬といってもおかしい。一日、二日ならともかく五ヶ月。五ヶ月もの記憶が抜けているのだ。記憶喪失?まさか時間が飛んでいる?分からない。今まで日本で17年間生きてきて培った経験、能力ではとてもじゃないが理解できない。普通ではない事。こんなことおかしい。


俺は普通だ。特殊な能力も特殊な趣味もない。至って普通だ。日本の平均的な高校生。学校に行き友達と帰ってゲームをして夜ふかしをして寝る。たまに友だちと遊んだりたまに学校をサボって担任に説教という名の暴言を食らう。な?普通だろ?たった今まで日常をつまらないと感じる普通の高校生だったんだ。たったまで。でも、今からは違う。俺は普通を歩めなくなってしまった。


こうして俺の日常は終わりを告げ、人生としては変化が豊か、が、物語としては変化が乏しい。

そんなつまらない非日常が始まろうとしていた。

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