第一話 「生徒会長」(5)
亀頭は焦った。なぜ錦が倒れたのかは分からなかったが、とある記憶がフラッシュバックした。亀頭にとって思い出したくない記憶であった。もう自分の前で誰も死なせない、そう誓ったはずであった。そんなことを考えながら、保健室へと向かった。しかし保健室へあと数10メートルの所で曲がり角を曲がった瞬間、何かにぶつかってしまった。亀頭はその衝撃で倒れこみ、さらに何者かに後頭部を強く叩かれ、
「ヴィ!」
と言い、亀頭は気を失ってしまった。
「あ痛~」
亀頭が目を覚ますと、そこは体育館の倉庫で、朝勃を疑っていた男二人が扉側を塞いでいた。
亀頭は自分の読みが当たっていたことを確信した。
「やはりお前達だったのか。全ての黒幕は」
男達は笑いながら答えた。
「その通りだよ亀頭モコみち。まぁ、今日ここでオナニーしてもらうけどな。」
「お前はここで退学だ。ビデオもちゃんとまわしてあるぜ?」
亀頭は冷静に言った。
「朝勃を射精させた原因は、お前らの媚薬だな?」
男の内の一人は答えた。
「その通りだよ。ちなみに、お前もその媚薬をもう飲んでいる。気絶している間に飲ませておいた。おまえもその内オナニーさせてやるよ。」
亀頭はそれでも冷静だった。
「生徒会長は一度でもオナニーしたら退学だっけなぁ?」
もう一人の男が答えた。亀頭はそれに対して、
「ああ、そうだったな。オレはオナニーしたら退学だ。フッ、ここまでだな。それより、ツバサと朝勃は無事なのか?」
と、ツバサの安否についてわざとらしく尋ねた。男は、
「お前、生徒会長のくせにホント馬鹿じゃねーか?あいつらは俺たちのクロロホルムでオネンネしてるだけだよ!まぁその内オナニーさせてやるけどな!」
「俺たちはゲームをしてるだけだよ!お前らをいかにオナニーさせてやるか、ってなぁ!まあ楽しかったよ!思ったより雑魚だったけどなぁ!ギャハハハハ!」
と答えた。すると、
「フッ、ツバサが無事ならいい」
と呟いた。
「さあもうすぐタイムリミットだぜ?ムラムラくるだろぅ?」
と腕時計を亀頭に見せた。
それに対し亀頭は、しばらく沈黙してから、
「タイムリミット?それはどっちの台詞かな?」
と言った。
男達は顔をしかめて、
「はぁ?なんのこっちゃ・・・」
と言いかけたところで、倉庫の扉が開いた。
「待たせたな、モコみち」
その声は、錦ツバサのものだった。