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第22話
私はあらためて秋のアトリエの中を観察する。
秋のアトリエは古い木の一階建ての家だった。森の中にあって、少し街から遠いけど水道も電気も通っている。(玄関先にはポストがあり郵便も届く)もともとは秋のお父さんのアトリエだったらしい。秋のお父さんは今は別のところに自分のアトリエを持っている。
玄関から家に入ると大きなスペースがあるそこが生活空間と絵を描く作業場を兼ねている。玄関から見て一番奥が絵を描く作業場になっている。(絵を描く道具が置いてあった)
大きなソファがある。箪笥があり、ものをしまう棚がある。小さな鏡がある。アンティークの黒電話があった。
壁には壁掛け時計と窓があり、そこには秋の作品である二枚の絵画が飾られている。(『森秋』と『わがまま怪獣』)部屋の隅にキッチンと木のテーブルがある。隅っこにはドアが二つあって、お風呂とトイレがある。(小さいけど、どちらもすごく清潔だった)
全体的にすごくものが少ないことが印象的だった。(服や小物もほとんどなかった)
私は靴を履いて一度、アトリエの外に出る。