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異世界生活は全能神の加護で!  作者: 軌跡
第九章 生徒会ギルド
77/99

4

 翌朝。

 目を覚ますと、最初に視界へ入ってきたのはシビュラだった。


 彼女はこちらの胸元に顔を埋めて、可愛らしい寝息を立てている。下手に動くと起こしてしまいそうなんだけど、登校の準備をする以上は動くしかない。


 そもそも本来、シビュラは俺と同じ時間に起きてはならない筈だ。彼女が担当する重要な預言は、毎朝一番に行うんだから。


「シビュラ、シビュラ」


 未だ動く気配のない頬を、何度も優しく叩いてみる。

 十回目に差し掛かろうとしたところで、重い目蓋はようやく動いた。とはいえ寝惚けている状況には違いなく、怪訝そうな顔でこちらを見ている。


「あれ、もう朝ですか……?」


「うん、そうだよ。寝足りない?」


「そりゃそうですよー。私、ユキテル様より朝に弱いんですからー。……ええっと、まずは何をすればいいんですたっけ? 朝ごはんの準備ですか? それともお着替えですか?」


「えっと、着替えて預言の準備して、預言を受け取らなきゃいけないんじゃない?」


「預言――預言?」


 途端。見る見るうちに少女の瞳は覚醒していく。


「あああぁぁぁあああ!! そうですよ、預言っ! 私がやらないと駄目じゃないですか!」


「そうだね、代わりはいないね。だから早く急がないと」


「ええ、急ぎますとも! こんなこともあろうかと、昨晩のうちに法衣を持ち込んでおきましたし!」


「俺の前で着替えるってこと!?」


「えっ、駄目なんですか?」


 メリハリはつけなさい。

 しかし止める暇もなく、シビュラは寝間着を脱いで着替え始めていた。――なるほど、彼女は下着をつけないで寝てるらしい。夜中の感触はすべてダイレクトだったわけだ。


 呼びに来た女性を蹴散らす勢いで、神殿一の預言官は廊下を駆け抜ける。朝はただでさえ慌ただしい雰囲気なのに、二割増しの騒々しさだ。


「しっかし、よく寝たな……」


 シビュラの所為で普段なら悶々としているんだが、今日は清々しい気分。……昨日、部屋に戻ってから色々あったって意味ではない。


 単純に睡眠時間が確保できたというか。これまでの夜に比べて、三倍ぐらいは長く寝た気がする。

 昨日から、時間に関する違和感はあった。


 これがゼウスの加護によるものであれば、一つだけ心当たりがある。周囲に危害はないだろうし、どうせだから試してみよう。


「――」


 深呼吸して、意識を集中させる。

 直後だった。


「み、神子様っ!」


 神殿に努めている預言官の一人。残念ながら俺の好みではない美人が、息を切らせて扉を開けた。


「どうしたんですか? そんなに慌てて」


「外の市街地にドラゴンが出現したんです! 神殿騎士ではとても抑えつけることが出来ず――!」


「分かりました、行きます」


 なんてグットタイミング。

 新しい力を試すのに、これ以上ない相手じゃないか。

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