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「まあ難しいことはやらないわよ。生徒会、って言っても基本、学園専属のギルドみたいなもんだからね。オンファロスの平和と安全のために、ってやつ」
「大迷宮に潜って暴れろってこと? 学園のイベントとかは?」
「ああ、もちろんやるわよ? でもここ数年、生徒会って人がいなかったから。実際に学園祭とかする時は、生徒会で動くことってほとんどなかったわね。少なくともアタシは」
「でも、連絡役みたいなのはしてましたよね?」
無理やり所属したようなものだが、やる気はあるらしいシビュラが一言。
頷くヘルミオネだが、なかなか喋り出そうとはしない。口の中に食べ物が入っていて、飲み込むまで待って欲しいようだ。
「――そうね、先生方との橋渡し役はやってたわ。大迷宮の方が忙しかったから、集中して関われなかったけど」
「去年も一人だったの?」
「実質的にはね。でも手伝ってくれる人は多かったわよ? ……下心を隠そうともしないから、大抵は追い返してやったけど」
当時を思い出したのか、ヘルミオネは歯を食いしばっている。そのお陰で、アリストテレス学園の生徒達は彼女を遠巻きに眺めることにしたんだろう。
「まあ今年は三人になったわけだし、行動の選択肢は増えるでしょう。他のギルドに負けないよう、新入生の勧誘もしないとね」
「……そういえばさっき、待遇がどうとか言ってたけど」
「ああ、簡単よ。生徒会ギルド以外のギルドは、各国から支援を受けてるの。だからお給料だっていいし、将来的な進路も自動的に決まるわけ。反面、私達は学生の間しかここにいられないから」
「はー、なるほど。……でもさ、知名度を上げたりは出来るんじゃないの?」
「それも難しいわね。生徒会に入るのって、試験みたいなのがあるのよ。家柄とか神子としての階級が論点になるから、もともと名前が売れてるやつが入りやすいわけ」
「……いいの? 俺が入って」
「神級の神子なんだから良いに決まってんでしょ。もっと自信持ちなさいって」
言い終わると、ヘルミオネはまた昼食に戻る。
自信か。確かに大切な要素だとは思う。比例した責任も降り掛かってくるわけだけど、今の環境だったら応えることに躊躇いはない。




