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異世界生活は全能神の加護で!  作者: 軌跡
第五章 気になるあの子と裸の付き合い
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 ……昨日、ケルベロスが使ったらしい道について、彼女には話していない。不用意に情報を拡散させて、人間達の知るところになれば番犬兄弟に迷惑をかけるからだ。


 かといって、いつまでも隠し通すのも難しい。こうなったら口止めを頼む前提で、洗いざらい白状しよう。


「報告したケルベロスさんですけど、その抜け道を使って大迷宮の一層に来てたらしいんですよ。もしリュステウスさんが知っていたら、利用しているかもしれません」


「有り得そうだな……よし、さっそく探し出すとしよう。私が単独で動く」


「よ、宜しいんですか? っていうか、黙ってたお咎めはなしですか?」


「そりゃあ無しに決まってるだろ。君の考えは尊重するさ。――それとも、私を陥れるつもりで隠していたのかな?」


「……冗談が上手いですね、アテナ様」


「君ほどじゃない」


 互いに、不敵な笑みを交換する。

 シビュラがやってきたのはその直後だった。預言後と同じように息を切らしているが、これは単に急いだからだろう。寝坊しなければ良かったのに。


「う、うう、なんですかユキテル様? 私の顔に何か付いてます?」


「いや、いつも寝坊するなんて大変だな、と思ったんだよ」


「あー、馬鹿にしてますね!? ――き、昨日は特別だったんだから仕方ないんですよ! ユキテル様と寝るのが初めてでなければ、あと一分ぐらい早く起きてました!」


「あんまり変わらないような……」


 さすがは常習犯。

 しかしそうなると、俺よりも夜遅くまで起きていたんだろうか? 昨夜の記憶を辿ると、彼女の寝入った姿を見た覚えはない。最後の最後までからかわれていた、ような。


 食事は一緒なので、シビュラは隣の椅子を引く。


「はあ、楽しいからって油断してました。ユキテル様の寝顔を突いてただけなのに、まさか朝日が差し込んでいたなんて……」


「夜更かしどころか徹夜じゃないか! っていうか、人の顔面で遊んでたの!?」


「だって可愛かったんですもん。仕方ないでしょう?」


「……」


 向かい側にいるアテナは、自分を煽ぐような仕草をしている。こっちも顔から火が出そうだ。


 恥ずかしがっていないのはシビュラだけで、推測した彼女の性質を裏付けてくれる。……後でアテナに教えておこう。もう知ってるかもしれないけど。


「ところでアテナ様、今後の方針は如何いたしましょうか? しばらくは平穏な日々が続きそうですけど……」


「いや、分からんぞ。私達なら問題なく対処できるという意味で、平穏が続くのかもしれん。状況が確定するまで、油断はしないのが賢明だな」


「了解しました。あ、ところでユキテル様、生徒会の方はどうするんです?」


「ああ、ギルドのこと?」


「はい。仕事の大部分はヘルミオネさんがしてくれると思いますし、協力して頂けると嬉しいのですが……ユキテル様が活躍できる場面も増えますし!」


「うーん」


 悩む。もちろん興味はあるんだけど、やっぱり名前だけ貸すのは軽率じゃないだろうか?

 だったら、そうだ。あまり期待を持たせ過ぎない程度に、ヘルミオネから話を聞いてみよう。無理そうじゃなければ、もっと前向きに検討できるだろうし。


 彼女以外にも、生徒会のメンバーはいる筈だ。……埃まみれの小屋を思い出すと、実は一人です、なんてオチがありそうだけど。


「今日、改めて彼女に会ってみるよ。お昼頃だったら問題ないよね?」


「はい。私の方から呼び出しておきますね」


 答えながら、シビュラは机の上に弁当箱を置く。外見は昨日と同じだが、漂ってくる匂いは異なっていた。


 今日もサンドイッチか――尋ねようとして、そのまま飲み込む。知らない方が楽しみになりそうだし。

 そうこうしていると、預言官たちが朝食を運んできた。


「よし食うぞ。ああユキテル、おかわりはあるからな。遠慮するなよ?」


「は、はあ」


 目前に広がった料理は、やはり異文化の象徴。

 未だに好奇心と不安を覚えながら、空っぽの胃を満たしにいく。

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