表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界生活は全能神の加護で!  作者: 軌跡
第五章 気になるあの子と裸の付き合い
43/99

6

「ユキテル様は、やはりお父様と?」


「まあ仲良く出来そうにはないね。もう今の段階で敵意を抱かれてるんじゃないかな」


「……だとしても、私はユキテル様の味方です。たった今、決めましたから」


 肩に頭を乗せている状態から一転、シビュラはこちらの手を取った。


「これから一緒に頑張りましょうね! 私の幸せも、神殿の行く末も、全部ユキテル様にかかってるんですから!」


「シビュラも手伝うんだよ?」


「もちろんですっ!」


 本心からの回答は、彼女に日常的な雰囲気を取り戻させている。

 一通り堪能した後で、シビュラは惜しむように手を離す。ただ甘えるのだけは止めないようで、またこちらの傍に擦り寄ってきた。


 そんな時。

 風呂場のドアが、陽気な声と共にぶち開けられた。


「ああ、素敵だわ! 二人とも恋愛をしているのね! アプロディテお姉さんも、まーぜーてっ!」


「くたばれクソ女神があああぁぁぁあああ!!」


 申し合わせたように、壁を粉砕して現れる処女神・アテナ。


 見苦しい罵倒合戦を行うまでもなく、二柱の女神は空の彼方へ吹っ飛んで行った。アテナがフルスイングでアプロディテを打ち上げ、それを追い掛けるという形で。


 甘ったるい空気感だった俺達は、突然の出来事に口を開けるだけだ。ていうかアプロディテ様、バスタオル一枚だったような。夜空の下で寒くないのか?


「……エネルギッシュですね、ウチの神様は」


「正直、加減は覚えて欲しいけど」


「ですねえ」


 広い浴場の中に、二人きり。

 時間を忘れてしまいそうな静寂が、ここにあるすべてだった。



―――――――――



 翌朝。

 シビュラは宣言した通り、一緒の布団に潜り込んでいる。手を繋ぎながら寝ましょう! と提案してきたが、添い寝の時点で眠れなさそうなので却下した。頷きたいのは山々だったけど。


 しかし身体の方は疲れていたんだろう。ふとした瞬間に意識は途切れていて、無事に朝を迎えていた。……うん、何もせずに迎えた筈。


「んう、神子様……」


「――」


 こっちは目を覚ましたけれど、彼女は幸せそうな夢の世界。


 起こすのも忍びないので、なるべく刺激を与えずに布団から抜け出す。部屋の外では既に大勢の預言官が働いているらしく、忙しそうに声を飛ばしあっている。


 何か手伝えることはないだろうか――シビュラが寝ているのを再確認して、急ぎ制服に着替えていく。上着はまだ羽織らなくていいだろう。


「ああっ、神子様! おはようございます!」


 部屋から出た途端、目の前を通過しようとした預言官がお辞儀をした。

 しかし焦っているのは変わりなく、何故か俺の部屋を覗き込もうとしている。


「あの、シビュラ様はまだ?」


「あ、はい、寝てますよ。起こした方がいいですか?」


「お願いします。朝の預言がそろそろ始まりますので……ああ、それが終わり次第、居間の方にいらしてください。アテナ様がお待ちです」


「分かりました。じゃあ――」


「ね、寝坊しましたぁっ!」


 寝癖が爆発したまま、慌てて飛び出してくる美少女一名。


 シビュラは俺の相手をしていた預言官に平身低頭した後、走って神殿のどこかへと去っていく。他の人達が正装を着ている中、ネグリジェで駆けていく姿がおかしかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ