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異世界生活は全能神の加護で!  作者: 軌跡
第五章 気になるあの子と裸の付き合い
40/99

3

「こいつを風呂に入れてやってくれ。準備はもう出来てるんだろう?」


「はい。しかし宜しいのですか? 先をお譲りしても――」


「構わんさ。私はあとでゆっくり浸かる」


 頷いて、再び女性預言官は去っていく。

 俺の方は内心、驚きと喜びがあった。まさかこの世界にも風呂があったなんて。古代ローマの時代には共同浴場があったし、それと似たような場所なんだろうか?


 多分、一人で入ることになるんだろう。今日は大半で誰かと一緒にいたから、懐かしい気分にもなってくる。

 が、


「じゃユキテル様、ご一緒しますね」


「え」


 アテナばりの自然体で。

 入浴の準備を終えたらしいシビュラが、部屋に前に立っていた。



―――――――――



 風呂場は神殿の一画、神子や神が専用で使うものとして作られたらしい。


 中は自分が知っている共同浴場と大差なかった。巨大な風呂桶があって、その手前に身体を洗う場所がある。石鹸らしき物も置かれていた。


「お背中流しますから、ユキテル様はそっち向いてください」


「ちゃ、ちゃんと洗ってよ? おかしなことするのは無し」


「ほう、ボディタオルをご所望ですか? 仕方ありませんね、ユキテル様のために一肌――」


「ええぇぇええ!?」


 だがさすがに冗談らしく、普通にタオルの感触が来る。


 とはいえ緊張感が薄れるわけではない。お互い、今は身体にバスタオルを巻いただけの状態だ。少しでも後ろを向けば、肌の大部分を露出させているシビュラがいる。


 目のやり場に困るとはこのことか。アプロディテにも劣らない、女性らしい肉付きが目に入る。


 ……ずっと正面を向けば意識せずに済むんだろうけど、思春期の本能は拒否していた。手が届く範囲にこんな美人がいるんだから、有り難く鑑賞しろと叫んでいる。


「――」


 シビュラの身体はもう、芸術作品にすら見えてきた。身体の線も布一枚では隠せていない。何かの拍子で触れることがあるとすれば、倫理観を簡単に消し飛ばす魔性の肉体だ。


「し、シビュラ、もういいって。あとは自分で洗うから」


「そうですか? ……でもせっかくですし、洗いっこしません? もちろん、ユキテル様が良ければ、ですけど」


「あ、洗いっこ!?」


「はい。だってユキテル様、言ってたじゃないですか。対等なんだったら、普通に接して欲しいって。私が背中を洗ったんですから、神子様もしてくれるのが礼儀ですよね?」


「――」


 数時間前の自分を殴ってやりたい。墓穴を掘った挙句、上から土まで被せちゃったよ。


 断ればいいんだろうが、シビュラの提案は理に適っている――気がする。いやどうなんだ? 女性の肌へ気軽に手を出していいとは思えないし。

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