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異世界生活は全能神の加護で!  作者: 軌跡
第三章 大迷宮・ラビリントス
28/99

7

「ところでさ、性格変わってない?」


「は?」


「いや、シビュラと話してた時に比べてさ。凄く落ち着いてるっていうか」


「そりゃあ、あの子とは幼馴染だもの。君と話すときと比べて差は出るわよ。本来の私は比較的クールです」


「へえ、格好いいね」


「ほ、褒めたって何も出ないわよっ、――まあでも、その、嬉しいわ。あ、ありがとっ」


 シビュラから聞いた通りの反応。うん、根本的には変わってないようだ。


「そ、そういえばユキテル君、シビュラは迷惑じゃない? あの子、神子様のお嫁さんになる、って昔から言ってたから」


「それは俺の、ってことだよね?」


「オンファロス神殿直属の神子は君だけだしね。……で、どうなの? 昼間も仲良さそうにしてたけど、嫌じゃなかった?」


「む、焼きもち?」


「ん、んなわけないでしょっ! どうして私が二人の関係に口を挟むのよ!?」


「いや、現に挟んでるよね?」


 指摘を受け、ハッ、とヘルミオネは目を開けた。白い肌のお陰か、赤面しているのがよく分かる。


「……確かに私は、シビュラの将来を気遣ってるわ。ユキテル君がまともな人間じゃなかったら、この場で無謀な戦いに挑んだかもね」


「でも正常だって立証できるほど、俺とヘルミオネは時間を共有していないんじゃない?」


「君、ほんっっっとに遠慮しないわね。空気読めてない、って言われたことない?」


「無いよ」


 あー、でも、故郷にいた頃はどうだったんだろう?

 自慢できるほど人間関係は活発じゃなかった気がする、特に異性とは。こっちに来てからは完全に逆転してるけど。


 その一人であるヘルミオネは、嘆息混じりにこちらのことを見つめている。


「貴方の方がよっぽど冷静そうだわ。見習いたいぐらい」


「褒めてる? 批判してる?」


「私としては褒めてるつもり。――で、貴方がまともだっていう根拠だけど、単純よ。シビュラと楽しそうに過ごしてたじゃない」


「……それだけ?」


「それだけ。十分でしょ? 心の中まで勘定に含めたら、際限がなくなるもの。誰よりもお人好しなシビュラと仲良くやれてるんだから、私は納得してる」


 信念で話すヘルミオネには、濁りというものが一切ない。幼馴染が信じる少年を、自分も信じると決意している。


 何だか、逆に羨ましくなるぐらいだ。きっと彼女の、彼女達の生き方には、後悔なんて無いんだろう。

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