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異世界生活は全能神の加護で!  作者: 軌跡
第二章 学園の日常
19/99

9

「……もしかして貴方も、ゼウス様の子供だったり?」


「――」


 しまった、どう答えればいいんだ? アテナからは何も言われてないけど。

 東の果てから来た、なんて設定がいつの間にか決まっていた以上、独断で回答するのは宜しくない。別の設定が既に広まっている可能性もある。


『私の弟になりたければ子供だと言え』


 などと、天啓が訪れました。


「か、確証は取れてないけど、ゼウス様の子供らしいよ」


「ふうん、そうなの」


「そうなんですか!?」


 しまった、こっちとの打ち合わせが必要だったか。

 目を丸くするシビュラに、ヘルミオネは疑念を向けている模様。なんだか面倒な展開になりそうだが、これは全部アテナ様の所為なんです。


 なんて思っている間に、これまでと同じ鐘の音が響く。


「詳しい話は、また放課後に聞かせてもらいましょうか。……ユキテル君、授業が終わったら付き合ってね」


「抜け駆けは駄目ですよ! 私も一緒に行きますから!」


「あ、アンタは駄目よ! これは……そう、ゼウスの血を引く者同士、交流を深めようってだけなんだから」


「ユキテル様に興味があるなら、率直に言ってくれればいいのに……」


「違うっつってんでしょ!」


 仲睦まじい姉妹のように、二人はあーだこーだと言い争いを始めた。


 しかしさすが生徒会役員。適当なところで切り上げて、足早に校舎へと戻っていく。中庭に設置されている時計が、昼休みの大半を使い果たしているのも理由だろう。


 それに気付いたシビュラは、残りのサンドイッチを俺に喰わせようと全力だ。


「いい、ユキテル君!? 節度を持って接するのよ! あと、放課後に昇降口でね!」


「わ、分かった!」


 シビュラの猛攻を捌きつつ、小さくなっていくヘルミオネの背中を見送る。

 一体、どんな用事なんだろう……?



―――――――――



 残り二時間ということもあり、授業はいつの間にか終わっていた。――もしくは昼寝で消えた。だって昼食後って一番眠い時間じゃないか。


 内容の方はさっぱり記憶できなかったので、神殿に帰ったらシビュラの特別授業を受けることが決まっている。初日だから、短めで済ませる予定ではあるらしい。

 だがその前に、俺は俺で用事があるわけで。


「約束はきちんと守ってくれるみたいね」


 まだ生徒が残っている昇降口。己の美貌に集まる視線を、鬱陶しそうに眺めている美少女がいる。

 なんだか、取りつく島もなさそうだ。目付きが鋭いこともあり、本気で睨まれた生徒は二度と彼女に近寄れなくなるだろう。


「その約束、割と一方的だった気がするけど?」


「でもユキテル君はここに来た。最低限の興味は持ってたんでしょう?」


「……まあ」


 シビュラは駄目、と断りを入れていたのも気になる。


 もしかしたら罠なのかもしれないけど、不思議と疑う気にはならない。多分、ヘルミオネ自身が持っている空気感によるものだ。曲ったことを嫌う女性なのは、中庭の会話で推察できたし。


 一方で、彼女に注目している生徒達からは困惑する声が聞こえていた。異性との行動自体が稀らしく、天変地異が起こるんじゃないか、と恐れる者までいる。大げさな。

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