少女
小説を書くことに慣れてないので1000文字程度の短い話をどんどん投稿していきます。
「いらっしゃいませ...。」
暗い表情の少女が嫌なものでも見るような目であいさつをしてくれた。しかし、僕は客ではない。面接をしにきたのだ。コミュニケーション能力の乏しさから危うくそのまま席につき食事を注文してしまうところだった。
久しぶりの会話で言葉がうまく思いつかない。なんとか客ではなく面接を受けに来たということを伝えねば、訝しげな少女の視線に耐えながら言葉を考えつくまでの数秒間は異常に長く感じられた。
言葉を考えついた僕は次はそれを口に出さなければならない、だが、ただでさえ人と話すのが苦手な僕が店に入って一歩のところで凍りついてしまった不審者を警戒する少女に会話などできるわけがない。
逃げ出したかった。しかし、ここで逃げてはまた×を増やしてしまう。ここは踏ん張らねばならない、そして僕の喉からやっとの思いで出てきた言葉は
「あ、いえ、えっと..僕はバイトの面接に来たので..その、店長はいらっしゃいますか?」
というなんとも格好の悪いものだった。とはいえ、面接に来たということを伝えるには十分なはずだ。僕は微妙な満足感を得ながら少女の返答をまった。
不審者ではないことが分かって安心したのか少女はほっとしたような表情で
「あ、お父さんが言ってた人..。どうぞ、店長はこちらの部屋にいます。」
と、案内してくれた。