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UFO馬鹿とモケーレ・ムベンベ、あと一人UMA動物園

 翌日


 UFO馬鹿こと、宇佐美大和うさみ やまとは、アフリカの熱帯雨林、テレ湖湖岸で蛮刀を握りしめていた。

 肩で息をしており、止めどなく流れる汗が17歳の若い頬を伝い落ちた。

 致命傷ではないが、迷彩服が所々切り裂かれて血が滲んでいる。

 目の前には、巨大な恐竜。敵意も露わに大和を殺そうと吼えたけっていた。

 奴は首長竜、モケーレ・ムベンベ――アフリカに君臨する巨大恐竜型UMAだ。

(くっ、さすがに強い)

 逆手に握りしめた蛮刀は、モケーレ・ムベンベの岩のような肌に負けて刃毀れしていた。もう使い物にならないかもしれない

(ならば――)

 蛮刀を捨て、腰に下げていた棒を引きぬいた。

 片側についたスイッチを押すと、ブォンと電子的な音を立てて光の刃が伸びた。――フォトンソード(光剣)だ。エジプトで発掘した。

 多分、UFOが落としたオーパーツだと思う。俺は詳しいんだ。

 フォトンソードを構え、再びモケーレ・ムベンベに相対する大和。

 こいつを仕留めないと、長年の夢が叶わない。大和は必死だった。

「すまんな、アンタに恨みはない。だが、UFOに会うためには、アンタの血が必要なんだ!」

 剣を掲げた上段の構えでジリジリと間合いを詰める。こめかみを一筋の汗が伝った。

 モケーレ・ムベンベも応じるように殺気立っていく。


 斬りかかろうと、足に力を込めた、まさにその時

 ――腰の石板が振動してぴぴぴと鳴った。

 重心を引いて反射的に飛び退いた大和。モケーレ・ムベンベは大きな瞬きをした。

「あ、石板切り忘れてた」

 お前、決闘の前には携帯(?)の電源切っとくべきだろ――とモケーレ・ムベンベから声なき声が聞こえたような気がする。

 大和がちらりと恐竜を伺うと、不機嫌そうに顎で石板を指された。早く出て済ましてしまえと言いたいらしい。

 大和はやらかした新人サラリーマンのようにペコペコと頭を下げた。取り出したのは、手のひらサイズの黒い石版である。ちょうど、iphoneと同じ位の大きさだ。

「Hi,ヤマト」

 ……電話だった。まごうことなく石板だが、どういう仕組みか電話として機能していた。大和がしゃべるたびに、石板に刻まれた文字が青白い燐光を発した。

 これもエジプトで発掘したもので、UFO由来のオーパーツだと大和は考えていた。俺は詳しいんだ。

『Hi,アメリアよ~。国連超常現象局の弔旗使いの~』

「あ、姐さん。お久しぶりです!」

 この間延びした声の主は大和にとって、恩人である。

 大和が喉から手が出るほどほしいUFO情報を流してくれ、大和がルーキーだったころから何くれと世話を焼いてくれた女性だ。青い髪のおっとり死神。

 実のところ、『宇佐美大和』というコードネームですら、彼女に名づけられたものである。

「あの、今立て込んでいるんで後で掛け直してもいいですか?」

『え~? こっちは非常事態なのに~。あなた今どこにいて何をしているの~?』

「アフリカの熱帯雨林でモケーレ・ムベンベと決闘中です!」

『どうしてUMA狩りなんかしてるのよ~?』

「UFOを呼ぶのにモケーレ・ムベンベの血が必要なんです。ヴォイニッチ手稿にそう書いてあったので……」

『未解読だったヴォイニッチ手稿の解読して、幻のモケーレ・ムベンベと戦って……。そこまでして会いたいのは、ただのUFO~? やっぱりUFO馬鹿ね~』

「だって! 俺、生まれてから今まで17年もUFO目撃してないんですよ! 今じゃ、UFOが未確認飛行物体と言われなくなるほど頻繁に目撃されてるのに! 俺、世界中の誰よりUFOを愛してるのに、不公平じゃないですか!」

 大和の魂の叫び。だが、アメリアは一ミリも同情してくれなかった。

「うーん、まぁそんなことより~、こっちの非常事態を優先してくれないかしら~。世界の存亡がかかってるの~」

「やですよ。世界が滅ぶのと、俺のUFOランデブーどっちが大事だと思ってるんですか! UFOでしょ!?」

 世界をUFOと天秤にかけて、あっさりUFOを取る男! スパイダーm……大和!  

 アメリアはあっさりと黙殺した。

「え~、もう迎え送ったから~、おとなしくこっちにおいでなさいな~。ちゃんと、UFOにも会わせてあげるから~。血を取るなんて、罪のないモケーレ・ムベンベが可愛そうでしょ?」

「うぐ……」

 罪のないモケーレ・ムベンベ……。

 ちらりと首長竜を見上げると、前脚のヒレで素振りをしていた。

 ブオンブオンと空気をぶん殴る音がする。あいつヤル気満々なんだけど……可愛そう?

「姐さん俺……!」

「じゃあ、ニューヨークの国連本部ね~。待ってるわ~」

 ブツリと音を立てて石板は沈黙した。文句をいう暇もない早業だった。これはもう出席必須で、行かないとお仕置き決定だ。

 だが――

 大和はちらりと横目で、モケーレ・ムベンベをうかがった。

 この完全にヤル気で鼻息も荒いモケーレ・ムベンベどうしよう。なんか目も血走ってるし……。

 これやめますっていったら肉塊にされるパターンや……。

 かと言ってまともに戦ったら、腕の一本二本はもってかれる覚悟をしなくてはならない。

 遅刻することにもなるし、姐さんのお仕置きも不可避。

 もう、どうしようもない。こうなったら数合打ち合いつつ、隙を見て逃げ出すしかーー

 大和が、覚悟を決めてフォトンソードを構えた時。

 ――モケーレ・ムベンベが、更に大きい竜に体当りされて吹き飛んだ。


 一人UMA動物園来たる!  

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