始まり。
“1”
「う~ん。やっぱ、ここはおちつくなあ」
ウトウトと瞼を閉じた。
大地に寝転び
太陽の光を浴び
木々のざわめく音
トリ達の話し声
肌を撫でる風
自然を感じ
自由を
大地を感じ
世界の広さを
命を感じ
ちっぽけな己を知る。
人に説明するのは恥ずかしいけれど、本当にそう思う。
村の森のちょっと奥まった場所にある、
この野原が私のお気に入りの場所。
めったに村人たちはやってこない。
煩い物がない。
「ちょっとウィズ!!何やってんのよ、こんなとこで!」
・・・まあ、たまにやってくる。
折角のお昼寝を
幼馴染みのアイリに遮られた。
ボクは、不機嫌に眉間にシワをよせ
半分だけ瞼を持ち上げる。
「う~ん、昼寝?」
「あなたのおばあ様が物凄い剣幕であなたの事探してたわよ!
また何をしたのよ!」
え~と、、、、
宙かを見渡し記憶を探るが
心当たりが有りすぎてちょっと思い当たらない。
首をかしげ、可愛く、
「・・・なんだろうね?」
バシッ!!!
思いっきり頭を叩かれた。
ちゃんと質問に答えたのに、、、
ボクは不本意ながらも、昼寝を切り上げ、
我が偉大なるおばあ様の家へとやって来た。
「っっっっバカ者っ!!!」
扉を開けた瞬間、
顔を真っ赤にして、
文字通り怒り心頭といった雰囲気で、
怒鳴られた。
「また、血圧上がりますよ?おばあ様。」
最近、年には勝てないようで、
この間、倒れたばかりだ。
「誰が上げているのだ!!」
酷い、、、
これでも本気で心配しているのに。。。
「ボクが何かしました?」
「何かじゃないだろう!!お前はまともに草むしりも出来んのかっっ!!!」
「出来てるじゃないですか!こんなにも綺麗に!」
草ひとつ生えていない、
とても綺麗になった庭を指す。
「お~お~、確かにきれいじゃ。
見事に綺麗にしてくれたわ。」
「でしょ~う♪」
誉められて、得意気な顔をする。
「誉めてなどおらん!!!綺麗に大事な薬草までむしりおって!!!」
「えっ?」
・・・いや、いやいやいや、
思い返しても全部草ですよ。
「あんなの、素人にわかるはずがない!!
分かるように囲いをしておかないおばあ様が悪いでしょう!!」
「すべてにおいて、大雑把過ぎるお前が悪い!!!
庭なのだから、何かが植わっているとわ思わんのか?」
問われて、暫く考えた結果、
「・・・いや、全く。」
えっ?えっ?
答えた瞬間に、大きな溜め息で思いっきりがっかりされちゃったよ。
「そんなんだから、女子力皆無だとみんなに言われるのだ。
男がやるような事ばかり達者になりおって!
少しは女の子らしいとこを見せてみろ」
「・・・ごめんなさい、アイリたちみたいなフリフリはちょっと・・・」
「バカタレ、服装の問題では無い
中身の問題だ」
あら?今度はがっかり通り越して呆れられちゃったよ。
すると、
「お前には、罰としてお前がむしった薬草を北の山まで採りに行ってこい。
また植えるから根ごと採取してくるように。
それだけにしようと思ったが、お前には繊細さが欠片もない。
東の山にわしの知り合いの刺繍屋が居るのでそこで刺繍を学んでこい。」
突拍子もないことを言い渡される。
「はぁぁぁあ?」
えっと、えっと、
『薬草を採りに行け』は、まぁまぁ、それは仕方がない。まだ解る。
けれども、『刺繍を学んでこい』は流石に、理解しかねる。
「何故、刺繍!?何故刺繍!?」