第1章 5
「千鶴、あの人またいるよ? ストーカーされてるの?」
「いやいや、知り合いだよ」
「でも、・・・」
実際、あの日から私は奏志さんにつけられている。
何故かというと、奏志さんの胸で泣きはらしたあと、また一晩泊めてもらうことになった時、
「貴女さえよければ、ここで一緒に暮らしませんか?」
「・・・こ、ここでですか?」
「はい」
今、私は奏志さんの腕の中にいる。
それも、布団の中で。
前みたいに、布団を貸してくれるのかと思ったら、
虫に喰われたとかいうのだ。 本当かどうかは知らないが・・・
私は掛布団だけ貸してもらえばあ、その辺で寝るといったのに、
一緒に寝ないと、奏志さんが縁側で寝るとか言い出したのだ。
そんなの、夏ならともかく今は冬なんだから風邪引くし、かといって一緒の布団も抵抗があった。
帰ろうかとも思ったけど、丑三つ時だったので観念したら、
こんなことになってしまった。
「・・・ありがたいですけど、遠慮しておきます」
「どうしてですか? ありがたいんでしょ?」
だって、いつかお母さんが帰ってくるかもしれないし・・・
帰ってきたときに居なかったら、吃驚するだろう。
心配させるかもしれないし。
「大丈夫です。 ありがとうございます」
「・・・、では明日、必要な荷物をまとめて来て下さい。 その他はこちらで揃えます」
「え!? あの、私は、大丈夫と言ったんですけど・・・」
「明日から一緒に暮らしましょう」