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第1章 3
「今日はもう、遅いです。近くにわたしの家があるのでどうぞ、ゆっくりしていってください」
突然だった。
暗いとは言ってもここから抜けることが出来れば街灯がある。
「それはいいですので、帰る道を教えてくれませんか?」
「危険ですよ? 女の子が一人で夜道を歩くのは」
「構いません、それに急いでいるので」
知らない人に家に泊まるなんて考えただけでも恐ろしい。
この人は変態なのだろうか。
「泊まっていきなさい」
「もう本当大丈夫ですので! 失礼します!」
これ以上話しても埒があかないような気がして、何より早くここから抜け出したかった。
こんな暗い場所にいると、またあの時のことを思い出してしまう・・・。
「っ! ちょっ、何するんですか!? いやっ! 離してっ!」
戻ろうと足を踏み出した瞬間、いきなり手首を掴まれた。
「や、やめっ!!」
「大丈夫だから!」
「っ!」
無理やり振り向かされ見たその人の目は闇のように漆黒く妖艶な瞳だった。
「大丈夫だから、泊まっていきなさい」
「・・・・・・・はい・・・」
一瞬だった。
私はその瞳に抗えることが出来なかった。