序章 4
「大丈夫ですか・・・?」
こんなに眠たいなんて、どこか病気?
気分でも悪いのだろうか?
私の力じゃ引っ張り起こせないので、しゃがんで抱きかかえるようにして、身体を起こした。
「んぅ・・・、あ、シャンプーの匂い・・・」
「今、お風呂から出てきたばかりですからね」
奏志さんは、まだ私にしがみついたまま、首元に顔を埋めてくる。
「くすぐったいです・・・早く起き上がってください」
「もうちょっとだけ・・・」
もうちょっだけ、こうしていたい・・・
そんな、消え入りそうな声で言われたら、何も言い返すことが出来ない。
おとなしく、このまま時間が過ぎるのを待った。
「また寝ちゃだめですよ・・・っひ!・・っ!」
首筋にぬるっとした感触があったと思ったら、柔い痛みが走った。
紛れもなくそれは、奏志さんの舌と歯のせいであって、恥ずかしくて反論しようとしたら、くすくす笑っていて・・・
余計に恥ずかしくなって、力ずくで逃げようとしたら、
「何処へ行くのですか?」
と、がっちり腰を掴まれてしまった。
「も、もう寝るんです!」
赤くなっているであろう顔を見られたくなくて、俯きながらやけくそに大声を出した。
「そうですか、お休みなさい」
くるっと方向を転換させられて、唇に柔らかい感触が重なった。
「さて、ではわたしもお風呂に入ってきますね」
私はしばらくその場から動くこと出来なかった。