序章 3
お風呂を入り終えると、奏志さんのいる居間に向かった。
「奏志さん・・?」
いつも、座椅子に座って本を読んでいる奏志さんだが、今日は畳の上で横になっていた。
近づいて見てみると、本を片手に持って寝ている。
どうやら、今日は畳の上で読書中だったようだ。
眼鏡をかけたまま寝ているということは、
読んでいるうちに、うとうとと眠気が襲ってきてしまったんのだろう。
あまりに気持ちよさそうに寝ているので、このままにしておこうかと思ったが、寝冷えしてしまうかもしれないので、起こすことにした。
「奏志さん、お風呂上がりましたよ?
それに、こんなところで寝ていたら風邪をひいてしまいますよ。
お布団ひきますから、そっちで寝てください」
「・・・ん・・ぅ・・・」
声だけじゃ起きそうもなかったので、身体を揺らしてみたら反応があった。
「ほら、起きてください」
「・・ん・・、おこしてください・・」
今日は余程眠たいのか、目がなかなか開かなく体も動かない様子。
片手を私に向けて差し出して、起こしてくれと唸る。
着流しからのびる、白くて細い腕。
あまり外に出なくて、いつも陰がある場所にいるので、日焼けのあとすらない。
いつも学校に通っている私のほうが、奏志さんよりも少し黑い・・・