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【資料】 人物紹介・用語辞典

■ 人物紹介


<日本側>


加藤カトウ

 ヤシマコーポレーション課長代理。36歳。レベル2駐在員事務所で事務と調整を担う。高い越界耐性を持つアンカー。子会社から本社に転籍出向させられ、異世界に送り込まれた。上司の宇田川が失踪し、採掘事業をザファル商会に外注したことで、暇になった事務所で裏帳簿の準備を始めている。


宇田川ウダガワ

 ヤシマコーポレーション次長。現地オフィスの統括責任者で、加藤による引き継ぎまで現地回りの穴も埋めていた。着任初日に加藤を案内し、ナイリザを「備品」と呼んだ男。加藤に引継を終えた一週間後に失踪。離婚済み、一時帰国の履歴なし。語っていた「家族」は3年前に終わっていた。


城島ジョウシマ

 ヤシマ本社の若い人事担当者。採掘部門の人員整理のために来訪。淡々と解雇を処理し、宇田川の失踪を「よくあるパターン」と片付けた。夜の街を楽しんで帰った。


坂崎サカザキ

 内閣府の参事官。レベル2の現地連絡調整室長。日本人だがオークに完全変異している。身長2メートル超の緑色の巨体にスーツを着こなし、正座ができる。レベル2の行政権力者。加藤が持ち込んだ情報を処理しつつ、同時にミスリル採掘の数字でも圧をかけてくる。「ゲートを資源の入口にするか、廃棄物の出口にするか」。


鰐淵ワニブチ

 所属不明のブローカー。帰還不能者。陶器のように白い肌と体温を感じさせない風貌。能面のような笑顔で近づき、情報と引き換えに食い込んでくる。発火魔法「ナロヤ」を習得している。加藤にザファルを紹介した。


<現地側>


【ナイリザ・イル=サリヤーン】

 エルフ。ヤシマ駐在員事務所の経理担当(契約社員)。元・双陽神聖帝国の宮廷魔術師(序列三席)。100円ショップの老眼鏡に事務用ベスト、ブラウスにタイトスカート。安酒が手放せない。加藤に対して一貫して冷笑的だが、ザファルへの対抗手段として裏帳簿の構築を示唆した。


【ハシュラ】

 ハーフ・ダークエルフの少女。ストリートチルドレン。盗んだメモリカードを加藤に押しつけたことで物語に関わった。偽物のエアマックスを履いている。導入編以降の接点は未定。


【ヴォルグ】

 ワーウルフ。採掘現場の元監督(契約社員)。日本的企業文化に過剰適応し「ノルマ」を連呼していた。ドリルジャンボにパッチワークを施して産量を維持しようとしたが、採掘の外注に伴い解雇された。最後に「オセワニ、ナリマシタ」と日本語で言い残し、坑道に消えた。


【ザファル】

 ダークエルフ。ザファル商会の会頭。裏の顔は盗賊ギルドの幹部。手の甲に蜘蛛の刺青。ベンチャー経営者風の伊達男で、スーツ、ロレックス、整えた口髭が特徴。メイリオのパワーポイント資料を持参する男。ヤシマの採掘を完全下請けし、中間搾取の構造を作り上げた。


【ギンネ=グアシェル】

 レベル2の蝋燭通りで雑貨屋を営む老人。表向きはしがない店主だが、金や人の流れに通じたあっせん人でもある。パッチワーク修理の偽装発注に名義を貸していた。


■ 用語辞典


【レベル1】

 ゲート周辺に築かれた日本の拠点。ほぼ日本化されており、異界特区管理本部、自衛隊司令部、ヤシマのオフィスなどがある。安全だが閉鎖的。ここから出なければ変異のリスクはほぼない。


【レベル2】

 日本人と現地人、表の取引と裏の取引、業務と歓楽が混在する前線の生活圏。加藤の主な活動舞台。かつての双陽神聖帝国の帝都の大部分から、ヤシマの採掘サイトのある郊外までを含む広大なエリア。長期滞在すると変異のリスクがある。


【レベル3】

 レベル2の外に広がる、現地世界すべての総称。日本の管理が及ばない領域。冒険者や軍閥の活動領域。現地の理と自己責任が前面に出るワイルドゾーン。


【アンカー】

 越界耐性の高い人間。日本側の技術や業務環境を現地で成立させるための要員。「生きた中継器」。加藤もその一人。


【アンカー効果】

 日本人がその場にいることで、日本由来の設備や手続きが安定しやすくなる作用。現地駐在の根拠のひとつ。


【アダプテーション(変異・適応)】

 異世界に長期間いると、その世界の法則に適応して体や精神が変容する現象。耳が尖る、肌が変色するなどの身体変化から始まり、進行すると完全に現地種族に変わる。身体変化は不可逆とされる。ゲートを通れなくなり、日本に帰れなくなる。


【帰還不能者】

 変異が進行し、あるいは自らの意志で、日本に戻れなくなった元日本人。レベル2の周辺に散在する。鰐淵はその一人。


【ポスチュレート(公理)】

 世界ごとに異なる物理法則の体系。地球は物理法則が支配的、異世界は魔術法則が支配的。この差が越界障害や変異の原因となる。


【越界障害(CRIP)】

 異なる世界の公理がぶつかることで起きる障害の総称。精密機器の不調、プラスチックの劣化、通信の不安定化など。アンカーの近くでは軽減される。


【パッチワーク】

 壊れた日本の機械を、現地の魔法で無理やり動かす応急処置。公式には禁止されている。続けると機械そのものが変異し始める。かつて持ち込まれたシールドマシンが地竜になった話は有名。


【ミスリル】

 異世界産の希少金属。ヤシマの主力事業。日本がこの世界と関わり続ける経済的な理由の一つ。産量が落ちれば、ゲートの用途が「資源の入口」から「廃棄物の出口」に傾く。


【盗賊ギルド】

 レベル2の裏社会を牛耳る現地の犯罪組織。構成員は手に蜘蛛の刺青を入れる。ザファルは幹部の一人。


【ヤシマコーポレーション】

 日本の大手商社。ミスリル採掘の操業主体。本来は商社だが鉱山操業まで担っている。加藤の雇用主。


【双陽神聖帝国】

 かつてこの地を支配していた帝国。自衛隊との「偶発的接触」で壊滅した。ナイリザはその宮廷魔術師だった。没落貴族や旧臣が各地に散っている。


【イヤーバッズ】

 現地語と日本語を橋渡しする翻訳機器ワイヤレスイヤホン。便利ではあるが万能ではなく、細かなニュアンスや俗語までは拾いきれない。

次話は4月21日(火)21時00分に投稿予定です。新編が始まります。

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