第四十九話 「王城の玉座」
ルナたちは、アルフレッドの差し向けた暗殺者集団を撃退し、満身創痍になりながらも、王都へと向かっていた。彼らは、国王と王女が先に進んだ道を追い、王都の城門へとたどり着いた。
王都は、アルフレッドの私設軍隊によって厳重に警備されていた。しかし、民衆の反乱によって、すでにアルフレッドの支配は崩壊寸前だった。城門の警備兵は、民衆の反乱に呼応して、次々とアルフレッドの側を離れ、国王側へと寝返っていた。
「レオニード様!城門が開きました!」
銀翼団の団員が、レオニードに駆け寄り、報告した。
「よし!皆、急いで、王城へ向かうぞ!」
レオニードは、そう言って、ルナたちを率いて、王城へと向かった。
王城の玉座の間では、アルフレッドが、苛立ちを隠せないでいた。
「くそっ!なぜだ!なぜ、民衆が私に逆らうのだ!」
アルフレッドは、怒りに任せて、玉座の間の豪華な調度品を叩き割った。
ゼウスは、冷静にアルフレッドに告げた。
「アルフレッド様。……もはや、打つ手はありません。……我々は、この国を、去るしか……」
「黙れ!私は、この国の王になるのだ!」
アルフレッドは、ゼウスの言葉を遮り、玉座に、深く腰掛けた。
その時、玉座の間の扉が、音を立てて開いた。
国王と、第一王女エリザベスが、姿を現した。
「アルフレッド!なぜ、私の玉座に、座っているのだ!」
国王の言葉に、アルフレッドは、驚きを隠せない。
「……ば、馬鹿な!なぜ、陛下が、ここに……!」
アルフレッドは、国王の姿を見て、恐怖に震えた。
「アルフレッド卿!父上を裏切り、王座を奪おうとした罪は、万死に値します!」
エリザベスが、アルフレッドに、怒りの声をぶつけた。
その時、玉座の間の入り口に、ルナたちが、姿を現した。
「アルフレッド!あなたの悪行は、すべて、民に知れ渡っています!もう、逃げ場はありません!」
ルナの言葉に、アルフレッドは、絶望的な表情を浮かべた。
「……ルナ・カーヴィル……!なぜ、お前が、ここに……!」
アルフレッドは、ルナの姿を見て、信じられないといった表情を浮かべた。
「アルフレッド!観念しろ!」
レオニードが、アルフレッドに、剣を向けた。
アルフレッドは、レオニードの剣を前に、震えながらも、最後の抵抗を試みた。
「……国王陛下……!どうか、お許しください!私は、陛下を、愛していたのです!」
アルフレッドは、そう言って、国王に、命乞いをした。
国王は、アルフレッドの言葉に、冷たい視線を向けた。
「アルフレッド。お前が、私を愛していたならば、なぜ、私の家族を、私の民を、苦しめたのだ!」
国王の言葉に、アルフレッドは、言葉を失った。
その時、玉座の間に、一人の男が、駆け込んできた。
銀翼団の団長だった。
「陛下!アルフレッド卿の、全ての悪事を記した、証拠を、手に入れました!」
団長は、そう言って、アルフレッドの悪事を記した書物を、国王に差し出した。
国王は、その書物を手に取り、アルフレッドに、言った。
「アルフレッド。……お前の罪は、すべて、明らかになった。……もはや、言い逃れはできまい」
国王の言葉に、アルフレッドは、その場に、へたり込んだ。




