表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/50

第四十七話 「王都の英雄」

 ディートリッヒの敗北の報せを聞いたアルフレッドは、ゼウスの新たな策を実行に移した。それは、ルナたちの村の内側から、希望を絶望に変える、恐るべき計画だった。


 その頃、ルナたちの村では、ディートリッヒを撃退したことで、安堵に包まれていた。

「これで、もう、アルフレッドの軍隊も、怖くないぞ!」

 村人たちは、口々に、ルナたちを称えた。


 その日の夜、国王は、ルナに、静かに言った。

「……ルナ・カーヴィル。……お前たちのおかげで、私は、再び、王国の王として、立つことができる。……この恩は、一生、忘れない」

 国王は、ルナに、心からの感謝を述べた。

「陛下。……私たちの村は、陛下が、お戻りになる場所です」

 ルナは、国王に、そう告げた。


 その夜、カインが、村の入り口に、一人の男を連れてきた。

「ルナ様!この男は、王都から来た、銀翼団の団員です!」

 男は、ルナに、深々と頭を下げた。

「ルナ様!王都では、アルフレッド卿が、新たな策を、実行に移しております!」

 男の言葉に、ルナたちは、顔色を変えた。


 男は、ルナたちに、アルフレッドが、王都の民に、あるデマを流していることを話した。

「……アルフレッド卿は、ルナ様たちが、国王陛下を、人質に取っている、と触れ回っております!」

 男の言葉に、ルナたちは、驚きを隠せない。

「……人質……!?そんな、ひどい……!」

 ミリアが、震える声で呟く。

「……アルフレッドは、私たちの、国王陛下への忠誠心を、利用しようとしているのね」

 ルナは、アルフレッドの底知れぬ悪意に、再び、背筋が寒くなった。


 その頃、王都では、アルフレッドが、自らの邸宅で、民衆に、演説をしていた。

「聞け、王国の民よ!ルナ・カーヴィルという、卑劣な女が、国王陛下を、人質に取っている!国王陛下を救い出すために、我々が、立ち上がるのだ!」

 アルフレッドの言葉に、民衆は、動揺し、恐怖に震えた。

 しかし、その中には、アルフレッドの言葉を、信じない者たちもいた。

「……おかしいぞ。国王陛下は、ルナ・カーヴィルの村で、無事だと、聞いたばかりだ……」

「……アルフレッド卿は、私たちを、騙そうとしているのではないか……?」

 民衆の間には、疑念が広がり始めていた。


 その時、王都の広場に、一人の男が、姿を現した。

 銀翼団の団長だった。

「皆の者!アルフレッドの言葉に、耳を貸すな!」

 団長の声に、民衆は、一斉に、団長に、視線を向けた。

「アルフレッドは、国王陛下を、殺そうとした裏切り者だ!国王陛下は、ルナ・カーヴィルの村で、無事に、おられる!」

 団長は、そう言って、アルフレッドの悪事を、すべて、民衆に話した。

 そして、団長は、自らが、銀翼団の団長であることを証明するために、銀翼団の紋章を見せた。

 民衆は、団長の言葉に、驚きを隠せない。

「……銀翼団の団長様……!」

「……本当に、アルフレッド卿が、裏切り者だったのか……!」

 民衆は、口々に、そう呟いた。


 その頃、ルナたちの村では、銀翼団の団員からの報告を聞いた国王が、ルナに、言った。

「……ルナ・カーヴィル。……団長は、命をかけて、私と、この国を、守ろうとしてくれている。……私も、もう、これ以上、彼に、任せておくわけにはいかない」

 国王の言葉に、ルナは、深く頷いた。

「陛下。……私たちは、いつでも、王都へ、向かう準備ができています」

 ルナは、国王に、そう告げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ