第四十六話 「因縁の対決」
ディートリッヒの刃が、ルナに迫る。その瞬間、フィオナが、大剣を振るい、ディートリッヒの刃を弾き飛ばした。
「ルナ姉に、指一本、触れさせない!」
フィオナは、怒りに満ちた表情で、ディートリッヒを睨みつけた。
「フィオナ・カーヴィル……!貴様も、ルナと同じように、私の道を、邪魔するのか!」
ディートリッヒは、そう言って、フィオナに、再び、魔法を放った。
フィオナは、大剣を盾に、魔法を受け止める。
「くっ……!」
フィオナは、魔法の威力に、後ろに吹き飛ばされた。
その時、ミリアが、ディートリッヒに、魔法を放った。
「やめて!ディートリッヒ!」
ミリアの魔法は、ディートリッヒを、足止めする。
その隙に、レオニードが、ディートリッヒに、駆け寄った。
「ディートリッヒ!これ以上、罪を重ねるな!」
レオニードは、ディートリッヒに、そう呼びかけた。
ディートリッヒは、レオニードの声に、一瞬、動きを止めた。
その隙に、カインが、ディートリッヒに、飛びかかった。
「ディートリッヒ!なぜ、お前は、こんなことを……!」
カインは、ディートリッヒの胸倉を掴み、そう叫んだ。
ディートリッヒは、カインの言葉に、悲しそうな表情を浮かべた。
「……カイン……!お前には、わからないだろう……!私たちは、冒険者としての、誇りを、失ってしまったんだ……!」
ディートリッヒは、そう言って、カインに、刃を向けた。
その時、アウルムが、村の奥から、姿を現した。
「……愚かなる者どもよ。……なぜ、貴様たちは、争いを、やめぬのだ」
アウルムの声に、ディートリッヒは、恐怖に震え、その場に、へたり込んだ。
「ば、化け物……!」
ディートリッヒは、アウルムの圧倒的な力に、戦意を喪失した。
アウルムは、ディートリッヒに、静かに言った。
「……貴様は、心に、闇を抱えている。……その闇は、貴様を、滅ぼすだろう」
アウルムの言葉に、ディートリッヒは、顔色を変えた。
「……や、やめろ……!私を、見るな……!」
ディートリッヒは、そう言って、アウルムから、顔を背けた。
アウルムは、ディートリッヒを、村から追い出した。
ディートリッヒは、部下たちと共に、村から、逃げ出した。
「くそっ……!覚えていろ……!ルナ・カーヴィル……!」
ディートリッヒの声が、森の中に、こだました。
ルナたちは、ディートリッヒを、撃退したことで、安堵に包まれた。
「ルナ姉!やったね!」
ミリアが、ルナに抱きついた。
「ええ。……でも、まだ、油断はできないわ」
ルナは、ミリアの言葉を制し、国王に進言した。
「陛下。……アルフレッドは、私たちを、憎悪の念で、見ている。……今度は、どんな手で、私たちを、攻撃してくるか、わかりません」
国王は、ルナの言葉に、深く頷いた。
その頃、王都では、アルフレッドが、ディートリッヒの敗北の知らせを聞き、狂気に陥っていた。
「ディートリッヒめ!なぜ、あの村娘どもに、敗れたのだ!」
アルフレッドは、怒りに任せて、手近なものを叩き割った。
ゼウスは、冷静にアルフレッドに告げた。
「アルフレッド様。……もはや、力で、あの村を、攻め落とすことはできません。……我々は、あの村の、内側から、崩す必要があります」
ゼウスの言葉に、アルフレッドは、ゼウスに尋ねた。
「……どういうことだ?」
ゼウスは、アルフレッドに、一つの策を提案した。
「……ルナ・カーヴィルは、王国の民に、希望を与えようとしております。……ならば、その希望を、絶望に、変えるのです」
ゼウスの言葉に、アルフレッドは、邪悪な笑みを浮かべた。
「ははははは!……ゼウスよ。……お前は、本当に、恐ろしい男だ。……よし、その策、実行に移せ!」
アルフレッドは、ゼウスに、そう命じた。




