第四十五話 「カインの苦悩」
ディートリッヒと、彼の部下たちが、村の入り口に姿を現した。フィオナは、大剣を握りしめ、ディートリッヒに立ち向かう。
「ディートリッヒ!なぜ、アルフレッドの側に付いたんだ!」
フィオナの問いに、ディートリッヒは、不敵な笑みを浮かべた。
「……フィオナ・カーヴィル。お前たちは、冒険者としての、私たちの誇りを、傷つけた。……この屈辱を、お前たちに、思い知らせてやる!」
ディートリッヒは、そう言って、フィオナに、強力な魔法を放った。
フィオナは、大剣で魔法を受け止めるが、その威力に、後ろに吹き飛ばされた。
「くっ……!」
フィオナが、苦痛に顔を歪ませる。
「フィオナ姉!」
ミリアが、フィオナに駆け寄り、治療魔法をかける。
その頃、カインは、森の奥で、ディートリッヒの部下たちと戦っていた。
「……なぜだ!なぜ、お前たちは、アルフレッドの側に!」
カインの問いに、部下たちは、冷たい視線を向けた。
「……カイン。私たちを、見捨てたのは、お前だ」
部下たちの言葉に、カインは、言葉を失った。
ディートリッヒたちは、かつて、カインが率いていた冒険者パーティーのメンバーだった。しかし、カインが銀翼団を辞め、ルナたちと行動を共にするようになってから、彼らは、冒険者としての道を、断念せざるを得なかったのだ。
「……違う!私は、お前たちを、見捨ててなどいない!」
カインは、部下たちに、そう叫んだ。
「……黙れ!お前は、私たちの誇りを、踏みにじった!」
部下たちは、カインに、怒りの刃を向けた。
カインは、苦悩に満ちた表情で、部下たちと戦い続けた。
その間に、ディートリッヒは、村へと向かい、ルナと対峙していた。
「ルナ・カーヴィル。……お前が、私たちを、冒険者として、認めなかったから、私たちは、こんなことになったのだ!」
ディートリッヒは、そう言って、ルナに、怒りの刃を向けた。
ルナは、ディートリッヒの言葉に、心を痛めた。
「……ディートリッヒ。私は、あなたたちを、冒険者として、認めていました。……ただ、あなたたちのやり方が、間違っていただけです!」
ルナの言葉に、ディートリッヒは、怒りを募らせた。
その時、カインが、村に駆けつけてきた。
「ディートリッヒ!やめろ!」
カインの声に、ディートリッヒは、一瞬、動きを止めた。
「……カイン……!」
ディートリッヒは、カインの姿を見て、驚きを隠せない。
カインは、ルナの前に立ち、ディートリッヒを睨みつけた。
「……ディートリッヒ。……お前は、間違っている。……アルフレッドの側に付いて、何になるんだ!」
カインの言葉に、ディートリッヒは、悲しそうな表情を浮かべた。
「……カイン……。お前には、わからないだろう。……私たちには、これしかなかったんだ……」
ディートリッヒは、そう言って、カインに、強力な魔法を放った。
カインは、魔法を受け止め、後ろに吹き飛ばされた。
「カインさん!」
ルナが、カインに駆け寄ろうとするが、ディートリッヒが、ルナに、刃を向けた。
「……ルナ・カーヴィル。……お前の命を、もらう!」
ディートリッヒは、そう言って、ルナに、襲いかかった。




