第四十四話 「王国の裏切り者」
アウルムの力によって、王国全土に広まった疫病は、完全に浄化された。黒い雨が降り注いだ後、人々は体調が回復し、安堵の息をついた。この奇跡的な出来事は、瞬く間に王国中に広まり、ルナたちの村が、神聖な場所であるという認識が広まっていった。
一方、アルフレッドの邸宅では、怒りと焦りが渦巻いていた。
「くそっ!なぜだ!なぜ、疫病が消えたのだ!」
アルフレッドは、ゼウスに怒りをぶつけた。
「……アルフレッド様。……あの村にいる、古代竜アウルムの仕業かと」
ゼウスは、冷静にアルフレッドに告げた。
「……アウルムめ……!私に、どこまでも、逆らうつもりか!」
アルフレッドは、アウルムの力に、絶望的な気持ちになった。
その時、一人の男が、アルフレッドの前に進み出た。
「アルフレッド様。……私に、お任せください。……あの村を、滅ぼしてみせましょう」
男は、かつてルナたちと敵対していた、冒険者パーティーのリーダー、ディートリッヒだった。
「ディートリッヒか……。貴様、なぜ、ここに……?」
アルフレッドは、ディートリッヒの姿を見て、驚きを隠せない。
「……ルナ・カーヴィルに、屈辱を味わわされました。……今度は、私が、あの女を、跪かせてやります」
ディートリッヒは、そう言って、邪悪な笑みを浮かべた。
アルフレッドは、ディートリッヒの言葉に、満足そうに頷いた。
「ははははは!……ディートリッヒよ。……貴様は、本当に、頼りになる男だ。……よし、あの村を、滅ぼせ!」
アルフレッドは、ディートリッヒに、そう命じた。
ディートリッヒは、アルフレッドの命を受け、ルナたちの村へと向かった。
彼には、アルフレッドが用意した、強力な魔導具と、部下が与えられていた。
一方、ルナたちの村では、疫病の浄化に、安堵と喜びが広がっていた。
「これで、もう、アルフレッドの罠も、怖くないわ!」
ミリアが、歓喜の声を上げた。
「いいえ。……まだ、油断はできないわ」
ルナは、ミリアの言葉を制し、国王に進言した。
「陛下。アルフレッドは、必ず、新たな手を打ってきます。……そして、今度は、私たちの心の隙を、突いてくるはずです」
ルナの言葉に、国王は、深く頷いた。
その頃、村の入り口では、カインが、斥候として、村の周囲を巡回していた。
カインは、森の奥に、不審な気配を感じ、その正体を突き止めようと、森の奥へ入っていった。
カインは、森の奥で、ディートリッヒと、彼の部下たちが、村へ向かって進軍しているのを発見した。
「……ディートリッヒ……!なぜ、あいつが、アルフレッドの側に……!」
カインは、驚きを隠せない。
カインは、ディートリッヒの部下たちに見つかり、戦闘になった。
カインは、ディートリッヒの部下たちを、次々と倒していくが、その間に、ディートリッヒは、村へと向かっていった。
ディートリッヒは、村の入り口に姿を現した。
「ルナ・カーヴィル!久しぶりだな!」
ディートリッヒの声に、ルナは、驚きを隠せない。
「ディートリッヒ……!なぜ、あなたが、アルフレッドの側に!」
ルナは、ディートリッヒに、怒りの声をぶつけた。
「……ルナ・カーヴィル。……お前が、私たちを、冒険者として、認めなかったからだ!……お前を、跪かせてやる!」
ディートリッヒは、そう言って、ルナたちに、襲いかかった。
フィオナが、大剣を手に、ディートリッヒに立ち向かう。
「ディートリッヒ!私たちと、もう一度、勝負だ!」
フィオナの言葉に、ディートリッヒは、不敵な笑みを浮かべた。




