第四十話 「収穫祭の光と影」
ルナたちの村で、収穫祭の準備が着々と進められていた。村人たちは、この祭りがアルフレッドのデマを打ち破るための重要な舞台となることを理解しており、誰もが生き生きとした表情で準備に勤しんでいた。
「ミリア!そのカボチャ、もっと大きく飾って!」
「わかった、フィオナ姉!」
ミリアは、巨大なカボチャを運び、村の広場に飾った。村中が、豊かな実りを象徴する飾り付けで彩られていく。
「ルナ様!王都から、見学者が来るそうですよ!」
村人の言葉に、ルナは、安堵のため息をついた。
「銀翼団の団長が、うまく手配してくれたようね」
ルナは、国王に、収穫祭の準備が整ったことを報告した。
「陛下。収穫祭の準備が整いました。あとは、アルフレッドの罠に、注意するだけです」
ルナの言葉に、国王は、深く頷いた。
その頃、王都では、アルフレッドが、苛立ちを隠せないでいた。
「まさか、あの村娘どもが、収穫祭などという、馬鹿げたことを企てるとは……!」
アルフレッドは、ゼウスに、怒りの声をぶつけた。
「アルフレッド様。……民は、収穫祭という言葉に、興味を惹かれているようです。……このままでは、私たちのデマが、嘘だと、バレてしまいます!」
ゼウスの言葉に、アルフレッドは、歯噛みした。
「……ならば、収穫祭を、滅茶苦茶にしてやれ!……村から、疫病を広げている、というデマを、本当にしてやるのだ!」
アルフレッドは、そう言って、一人の男に、命じた。
収穫祭当日。
王都から、多くの人々が、ルナたちの村へとやってきた。
彼らは、王都で流されたデマを信じておらず、ただ、豊かな村の様子を、この目で確かめに来たのだった。
人々は、村の入り口に近づくと、その光景に、言葉を失った。
色とりどりの作物が、豊かに実り、村中が、収穫の喜びで満ち溢れていた。
「……これが、疫病の村……?」
「嘘だ……!王都で、流されたデマは、嘘だったんだ!」
人々は、口々に、そう呟いた。
王都からやってきた人々の中に、第一王女エリザベスが、身分を隠して混じっていた。
「……すごい。……父上が言っていた通りだわ」
エリザベスは、村の豊かさに、感動を覚えた。
その時、村の奥から、国王とレオニードが、姿を現した。
「陛下!」
人々は、国王の姿を見て、驚きの声を上げた。
国王は、人々に、静かに言った。
「皆の者。私は、死んでなどおらぬ。……アルフレッドに、裏切られ、この村に、身を寄せていたのだ」
国王の言葉に、人々は、驚きを隠せない。
その時、村の入り口に、一人の男が、姿を現した。
アルフレッドの配下、ゼウスだった。
「国王陛下!無事でございましたか!」
ゼウスは、そう言って、国王に駆け寄ろうとした。
しかし、そのゼウスの腕には、小さな瓶が隠されていた。
レオニードが、その瓶に気づき、大声で叫んだ。
「ゼウス!貴様、何を企んでいる!」
ゼウスは、レオニードの言葉に、一瞬、動きを止めた。
その隙に、レオニードは、ゼウスに飛びかかり、その腕から、瓶を叩き落とした。
瓶が地面に落ち、中から、黒い液体が飛び散った。
「……なんだ、これは……?」
人々が、黒い液体に、不審な目を向ける。
その時、カインが、黒い液体に近づき、その匂いを嗅いだ。
「これは……!疫病の元凶となる、毒だ!」
カインの言葉に、人々は、驚きと、怒りの声を上げた。
「アルフレッドめ!本当に、私たちを騙そうとしていたんだ!」
人々は、口々に、そう叫んだ。
ルナは、国王に、言った。
「陛下。今が、チャンスです。王都の民に、アルフレッドの悪事を、すべて、話してください」
国王は、ルナの言葉に頷き、人々に、アルフレッドの悪事を、すべて、話した。
国王の言葉に、人々は、怒りに燃え、アルフレッドへの憎しみを、募らせていった。
ルナたちの村の収穫祭は、アルフレッドのデマを打ち破り、国王の生存を、王国の民に知らしめた。
それは、ルナたちが、王国を救うための、最初の一歩だった。
しかし、アルフレッドは、まだ諦めていない。
彼は、ルナたちを、そして、国王を、完全に排除しようと、新たな陰謀を企てる。
それは、王国全体を巻き込む、壮大な戦いの始まりだった。




