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第三十一話 「王都炎上」

 王都の夜は、いつもと変わらぬ静けさに包まれていた。貴族街の豪華な邸宅から漏れる明かりが、王都の華やかさを物語っている。しかし、その華やかな光景とは裏腹に、王都の地下では、恐ろしい陰謀が進行していた。


 アルフレッドの命を受けた男たちが、王宮へと向かっていた。彼らは、アルフレッドが用意した魔法の油を、王宮の地下に流し込んでいた。

「……本当に、こんなことをしていいのか?」

 男の一人が、不安そうな声で呟いた。

「黙ってやれ!これは、ルナ・カーヴィルという平民が企てた反逆行為を、国王陛下に知らしめるための、必要な犠牲だ!」

 リーダー格の男が、そう言って、部下を脅した。彼らは、アルフレッドに、多額の金と、安全な逃げ道を約束されていた。


 一方、銀翼団の隠れ家では、団長とレオニードが、アルフレッドの次の動きを探っていた。

「……レオニード。アルフレッドは、国王がルナ様を信じていることに、苛立っているはずだ。次に何を仕掛けてくると思う?」

 団長が、レオニードに尋ねた。

 レオニードは、深く考え込んだ。

「……アルフレッド卿は、ルナ様たちを、完全に王国から排除しようと、画策するはずです。……しかし、ルナ様たちが王都を離れた今、彼らを直接捕らえることは難しい。……ならば、ルナ様たちを、さらに大きな罪人に仕立て上げるでしょう」

 レオニードの言葉に、団長は、眉をひそめた。

「大きな罪人、だと?」

「はい。……王族を巻き込むような、国家への反逆行為です」

 レオニードは、そう言って、王宮の方角を指差した。

「まさか……!国王陛下を!?」

 団長は、レオニードの言葉に、驚きを隠せない。

「……はい。そして、その罪を、ルナ様たちに、なすりつけるでしょう。……陛下に、ルナ様たちが魔物と通じている、と、信じ込ませるために」

 レオニードは、アルフレッドの邪悪な心を見抜いていた。


 その時、隠れ家の扉が、乱暴に開かれた。

「団長様!レオニード様!大変です!王宮の地下から、煙が上がっています!」

 団員の一人が、息を切らして駆け込んできた。

「くそっ!やはり、アルフレッドの仕業か!」

 団長は、悔しそうに拳を握りしめた。

「レオニード!お前は、このまま王宮へ向かえ!私は、アルフレッドの悪事を暴くための、新たな証拠を探す!」

 団長の言葉に、レオニードは頷き、王宮へと走り出した。


 ルナたちの村では、夜が更け、静けさに包まれていた。

 村の周囲には、ルナが張った魔法の結界が、淡い光を放っている。

「ルナ姉、本当にこれで、アルフレッドは攻めてこないのかな?」

 ミリアが、不安そうに尋ねる。

「大丈夫よ。この結界は、アウルムの力を借りて、村の土地と一体化している。アルフレッドの私設軍隊が、どんなに強力な魔力を使っても、破ることはできないわ」

 ルナは、ミリアを安心させるように、優しく言った。


 フィオナは、大剣の手入れをしながら、静かに呟いた。

「……でも、アルフレッドが、村を襲うことを諦めるとは思えない。……ルナ姉、本当に、王都のことが、心配じゃないの?」

 ルナは、フィオナの言葉に、顔を上げた。

「……心配よ。でも、私たちは、ここにいるしかない。……レオニードと、銀翼団の団長を信じて、ここで、アルフレッドの次の攻撃に備えるしかないのよ」

 ルナは、そう言って、夜空を見上げた。王都の方角には、不穏な黒い雲が、立ち込めているように見えた。


 王宮の地下から、煙が、徐々に、王宮全体を覆い始めた。

 王宮の警備兵たちが、火元を探し、走り回る。

「火事だ!火事だ!」

 警備兵たちの叫び声が、王宮に響き渡る。

 しかし、火の勢いは、彼らの想像を遥かに超えていた。

 あっという間に、王宮のあちこちから、炎が吹き出し、王宮は、炎の海と化した。


 国王は、自らの寝室で、この事態を目の当たりにし、言葉を失った。

「……何が、起こっているのだ……?」

 国王は、ただ呆然と、炎に包まれていく王宮を見つめていた。


 その時、レオニードが、王宮へと駆けつけてきた。

「陛下!無事ですか!」

 レオニードは、国王の寝室へと向かおうとするが、炎の勢いに、行く手を阻まれる。

「くそっ……!」

 レオニードは、悔しそうに拳を握りしめた。


 アルフレッドは、自らの邸宅から、炎に包まれていく王宮を見つめ、高らかに笑った。

「ははははは!これで、ルナ・カーヴィルは、終わりだ!王族を殺そうとした、大罪人として、歴史に名を刻むだろう!」

 アルフレッドの言葉に、部下たちが、震え上がった。


 王都は、炎の海と化し、混沌に陥った。

 人々は、悲鳴を上げ、我先にと、王都から逃げ出していく。

 アルフレッドは、この混乱に乗じて、国王を救う、という名目で、王国の実権を握ろうと画策していたのだ。

 

 ルナたちの物語は、ここから、さらに複雑な展開を迎えることになる。

 彼女たちは、故郷と、王国の未来を、守ることができるのだろうか。

 そして、レオニードと団長は、アルフレッドの悪事を、暴くことができるのだろうか。

 三姉妹の冒険は、まだ、終わらない。

 彼女たちの物語は、伝説となっていく。

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