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第二十七話 「村の危機と竜の咆哮」

 ルナからの伝言を聞いたフィオナとミリアは、王都北東の不毛の地から、全速力で村へと引き返していた。ルナの真意を理解した二人は、一刻も早く村の危機を知らせなければならないと焦っていた。


 その頃、平和な空気に包まれていた村に、突如として不穏な影が差し込んだ。村の入り口に、アルフレッドの私設軍隊が姿を現したのだ。

 彼らの鎧は太陽の光を反射し、その数は、村の男たちの数よりもはるかに多い。

「村の者たちよ! おとなしく、村から出ていけ! さもなくば、力ずくで排除する!」

 兵士たちのリーダーが、高圧的な声で告げた。

 村人たちは恐怖に震え、一歩も動けない。武器らしいものも持たず、ただ立ち尽くすことしかできなかった。


 その時、村の学校から、子供たちが駆け寄ってきた。

「おじさんたち、誰? なんで村に入ってくるの?」

 子供たちは、状況を理解できず、無邪気な声で尋ねる。

 兵士たちは、子供たちの無邪気さに、一瞬戸惑いを覚えた。


 その中の一人、ミリアの妹であるリリアが、震えながらも一歩前に出た。

「ここは、あなたたちが来ていい場所じゃありません!」

 リリアはミリアに似て、臆病な性格だったが、村と、村の子供たちを守るため、勇気を振り絞っていた。

「生意気な! そこをどけ!」

 兵士の一人が、リリアに剣を向ける。

 リリアは、恐怖で体が震えながらも、一歩も引かなかった。

「この村は、私たちが守るんだ!」

 リリアの言葉に、他の子供たちも、兵士たちに立ち向かう。

 兵士たちは、子供たちの無垢な勇気に、たじろいだ。


 その時、森の奥から、大地を揺るがすほどの巨大な唸り声が響き渡った。

「ぐぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 その声は、村中の空気を震わせ、兵士たちは、その声に、恐怖を感じた。

 彼らが恐る恐る森の奥に視線を向けると、木々をなぎ倒しながら、青銅色の巨大な影が姿を現す。

 それは、伝説の古代竜、アウルムだった。


 アウルムは、村の子供たちの前に立つと、威圧的な視線を兵士たちに向け、咆哮を上げた。

「我が聖域を汚す、愚かなる者どもよ! すぐに、立ち去るがよい!」

 アウルムの言葉に、兵士たちは、腰を抜かした。

 兵士たちのリーダーは、アウルムの姿を見て、恐怖に顔を歪めた。

「……化け物だ! 撤退するぞ!」

 兵士たちは、武器を捨て、一目散に逃げ出した。


 村の危機は、伝説の古代竜アウルムの力によって、救われた。

 村人たちは、アウルムに感謝の言葉を述べた。

「アウルム様! ありがとうございます!」

 アウルムは、静かに頷き、村人たちの感謝を受け入れた。


 その時、村の入り口に、フィオナとミリアが、息を切らして姿を現した。

「村は! みんなは無事!?」

 フィオナが、駆け寄る。

「ああ! 無事だよ、フィオナ姉! アウルム様が助けてくれたんだ!」

 リリアが、フィオナに駆け寄る。

 フィオナとミリアは、アウルムの姿を見て、驚きの声を上げた。

「え……! アウルム様が、村を……」

 二人は、村人たちの笑顔と、アウルムの威厳ある姿を見て、安堵のため息をついた。


 しかし、この一件で、ルナたちの村が、古代竜アウルムの庇護を受けていることが、アルフレッドに知られてしまった。

 アルフレッドは、ルナたちが伝説の竜を味方につけたことを知ると、さらなる大きな陰謀を企てる。

 それは、王国全体を巻き込む、壮大な戦いの始まりだった。

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