第十八話 「三姉妹の領地経営」
王都での騒動を収め、村へと戻った三姉妹を、村人たちは再び温かく迎え入れた。
ルナたちの名声は、もはや辺境の村に留まらず、王国中に知れ渡っていた。
特に、貴族との諍いを乗り越え、国王にその実力を認めさせたという話は、平民の間で伝説のように語り継がれている。
村は、ルナの指導のもと、さらに発展を遂げていた。
道は舗装され、商人が行き交い、活気にあふれている。
しかし、ルナは、まだ満足していなかった。
「この村を、ただの商業拠点にするだけじゃなくて、文化の中心地にもしたいわ」
ルナは、そう考えていた。
その日の夜。
ルナは、フィオナとミリアに、自分の考えを話した。
「この村に、学校を作りたいの」
ルナの言葉に、フィオナとミリアは、驚きの表情を浮かべた。
「学校……? そんなこと、できるの?」
フィオナが尋ねる。
「ええ。子供たちに、読み書きや、算数を教えてあげたいの。そうすれば、将来、もっと色々なことができるようになるわ」
ルナは、子供たちの未来を思って、そう言った。
「いいね、ルナ姉! あたしも、子供たちに剣術を教えてあげたい!」
フィオナが、目を輝かせて言う。
「私も! 薬草の知識を教えてあげたい!」
ミリアも、元気よく答える。
三姉妹は、村に学校を建てることを決意した。
翌朝。
ルナは、村人たちを集め、学校を建てることを提案した。
「この村の子供たちに、もっとたくさんのことを学んでほしい。……そのために、学校を建てたいと思います!」
ルナの言葉に、村人たちは、賛同した。
「ルナ様の言う通りだ!」
「よし! みんなで、学校を建てよう!」
村人たちは、ルナの提案に賛同し、学校を建てる作業に取り掛かった。
学校は、村の中心部に建てられた。
ルナは、先生として、子供たちに読み書きや、算数を教えた。
フィオナは、体育の先生として、子供たちに剣術を教えた。
ミリアは、理科の先生として、子供たちに薬草の知識を教えた。
学校は、子供たちの笑顔と、元気な声で満ち溢れた。
そんなある日のこと。
ルナは、授業の合間に、王都から届いた手紙を読んでいた。
手紙は、カインからだった。
「ルナ様。お元気ですか? 王都での騒動も、ようやく落ち着きました。……ところで、王都では、新たな冒険者パーティーが、台頭し始めています」
手紙には、そう書かれていた。
ルナは、その手紙を読み進めていく。
「そのパーティーの名は、〈黄金の獅子〉。リーダーは、金髪の青年で、非常に高い実力を持っているようです。……ルナ様たちも、もし王都に立ち寄る機会があれば、気をつけてください」
ルナは、その手紙を読み終え、眉間にしわを寄せた。
(〈黄金の獅子〉……)
ルナは、何か嫌な予感がした。
その日の夕方。
村の入り口に、一人の男が立っていた。
その男は、豪華な装備を身に着け、その雰囲気からは、ただの冒険者ではないことがうかがえる。
男は、村人たちに声をかけた。
「すまない。この村の領主、ルナという人物に、会いたいのだが」
男の言葉に、村人たちは、警戒した。
「ルナ様なら、学校にいらっしゃいます」
村人の一人が、男に答える。
男は、学校へと向かった。
学校では、ルナが子供たちに、算数を教えていた。
男は、ルナの姿を見て、微笑んだ。
「……ルナ様。初めまして」
男の声に、ルナは、男を振り返る。
男の顔を見て、ルナは、息をのんだ。
そこに立っていたのは――カインの手紙に書かれていた、〈黄金の獅子〉のリーダー、レオンだった。
「レオン!?」
ルナは、驚きの声を上げた。
「いや、私の名は、レオンではない。……私は、〈黄金の獅子〉のリーダー、レオニード。……あなたに、お話があって参りました」
レオニードは、そう言って、ルナに深々と頭を下げた。
レオニードの正体は、王都でルナたちに敵対した、レオンだった。
彼は、なぜ、ルナたちの村にやってきたのか。
そして、彼の目的は、一体何なのか。
新たな波乱が、三姉妹の領地経営に、影を落とそうとしていた。




