第十四話 「遺跡に眠る叡智」
三姉妹は、古代の遺跡の中で夜を明かすことにした。
遺跡の中は、外よりも冷え込んでいたが、焚き火を囲むと、ほんのりと温かくなった。
「ねぇ、ルナ姉。この壁に描かれている文字、なんて書いてあるの?」
ミリアが、壁の文字を指差して尋ねる。
「……これは……この土地に古くから伝わる、特別な農法について書かれているみたい」
ルナは、壁の文字をゆっくりと解読していく。
その文字は、彼女が王都の図書館で読んだ、古代文字の辞書に載っていたものと一致した。
「この土地は、痩せているわけじゃない。……土の中に、特別な鉱石が埋まっているの。その鉱石を細かく砕いて、土に混ぜると、作物がよく育つらしいわ」
ルナの言葉に、フィオナとミリアは、驚きの声を上げた。
「え! そんな凄いものが、この土地に眠っていたんだ!」
「すごいね、ルナ姉!」
フィオナとミリアは、ルナに抱きつき、喜んだ。
しかし、ルナの表情は、晴れやかではなかった。
「……でも、この鉱石を砕くのは、とても大変な作業みたい。それに、この鉱石がどこにあるのか、まだわからない」
ルナの言葉に、フィオナは、力強く拳を握りしめた。
「大丈夫だよ、ルナ姉! 鉱石を砕くことなら、あたしに任せて! あたしの大剣で、粉々にしてやる!」
ミリアも、ルナに言った。
「鉱石を探すことなら、私に任せて! 薬草を探すみたいに、丁寧に探してみる!」
ルナは、二人の言葉に、ようやく笑顔を見せた。
「……ありがとう。二人とも」
翌朝。
三姉妹は、遺跡の奥へ進んでいくことにした。
遺跡の奥には、広い地下空間が広がっていた。
そこには、巨大な水晶のようなものが、いくつも埋まっている。
「……これだわ! この水晶が、あの鉱石よ!」
ルナが、水晶を指差して叫んだ。
フィオナは、大剣を構え、水晶に斬りかかった。
「うぉぉぉぉぉぉ!!」
フィオナの一撃は、水晶にひびを入れるが、砕くことはできなかった。
「くそっ……! 硬い!」
フィオナが、悔しそうに歯を食いしばる。
ルナは、冷静に水晶を観察した。
「……フィオ。水晶には、弱点があるみたい。……このひび割れの部分を、狙って!」
ルナの言葉に、フィオナは、再び大剣を構え、ひび割れの部分に斬りかかった。
大剣の一撃が、ひび割れの部分に命中すると、水晶は、粉々に砕け散った。
「やったぁ!」
フィオナが、ガッツポーズをする。
三姉妹は、砕けた水晶の欠片を、故郷の村へと持ち帰った。
村人たちは、三姉妹が持ち帰った水晶を見て、驚きの声を上げた。
「これは、一体……?」
ルナは、村人たちに、遺跡で発見したことを話した。
「この水晶を土に混ぜると、作物がよく育ちます。……この土地を、豊かにできるんです!」
ルナの言葉に、村人たちは、歓声を上げた。
「ルナたち、本当にすごい!」
「これで、この村も、豊かになれるんだ!」
三姉妹は、村人たちと協力して、水晶を細かく砕き、畑の土に混ぜていった。
そして、種を蒔き、作物が育つのを、静かに見守った。
数週間後。
畑には、青々とした作物が、すくすくと育っていた。
その光景に、村人たちは、感涙した。
「ルナたちのおかげだ……! ありがとう!」
村人たちは、ルナたちに感謝の言葉を述べた。
ルナは、そんな村人たちの様子を見て、満足そうに微笑んだ。
三姉妹は、故郷を豊かにするという、最初の目標を達成した。
しかし、彼女たちの冒険は、まだ始まったばかりだ。
王都での騒動、そして故郷を豊かにした彼女たちの名声は、やがて、王国中に広まっていく。
そして、その名声は、新たな出会いと、新たな敵との戦いを、彼女たちにもたらすことになる。




